不動産投資
(画像=naka/stock.adobe.com)

一般財団法人の日本不動産研究所では、四半期に一度アセット・マネージャーや投資銀行などの不動産投資の専門家を対象に『不動産投資家調査』を実施しています。2020年4月時点の調査では、通常の調査と合わせてコロナ禍が不動産市場に与える影響に関する特別調査を実施。その結果、賃貸住宅市場が想定外の事態にも強いことが改めて証明された形になっています。

コロナ禍の影響は分野によって大きく異なる

まず通常の不動産投資市場の動向を見ると2020年4月時点では新型コロナウイルス感染症の拡大の影響がかなり大きくなっています。特にインバウンド需要に支えられてきたホテルについては、札幌~那覇まで総じて期待利回りが上昇。「期待利回りが上がる」ということは、リスクがあるため「高い利回りを確保できなければ投資しない」ということです。

つまりホテルに対する投資意欲が大きく減退していることを意味します。都市型の商業施設についてもほぼ同様の結果でした。一方賃貸住宅、オフィスや物流施設に関しては、ホテルや都市型商業施設ほどには影響を受けておらず前回調査からほぼ横ばいの結果となっています。なかでも賃貸住宅に関しては、根強い賃貸ニーズに支えられて比較的好調に推移しているのです。

全般的に新規投資意欲は減退傾向が強まる

調査では、今後1年間の新規投資意向についても調査しています。全般的に見ると2020年4月時点で「新規投資を積極的に行う」は前回調査から9ポイント低下して86%に下落しました。逆に「当面、新規投資は控える」は13ポイント上昇して18%に増加。これまでは、新規投資を積極的に行う投資家ばかりだったのがややためらいをみせる専門家も増えている傾向です。

しかしまだ86%の投資家が新規投資に積極的な姿勢を持っているわけで、投資意欲が強い状態が続いています。同調査では、調査時点でのマーケットサイクル(市況感)についても「回復期」「拡大期」「縮小期」「後退期」の4段階に分けて「どのサイクルに相当するか」を聞いているのが特徴です。例えば東京エリアに関しては「現在も半年後も拡大期にある」とする見方が大勢を占めています。

大阪エリアでも現在は拡大期で縮小期に入るのは半年後という見方です。

賃貸住宅にはネガティブな影響は少ない

新型コロナウイルス感染症拡大が不動産投資市場に及ぼす影響に関しては、分野別に「ネガティブな影響がかなりある」「ネガティブな影響がある」「ネガティブな影響はあまりない」「ネガティブな影響は全くない」の4段階に分けて質問しています。都心型商業施設、ビジネスホテル、シティホテルに関しては、「ネガティブな影響がかなりある」が60~90%程度です。

また「ネガティブな影響がある」を加えると100%近くに達しています。一方最も影響が少ないとしているのは「住宅」で「ネガティブな影響はあまりない」が74.0%でした。「ネガティブな影響は全くない」も9.4%あり8割以上の投資の専門家は、賃貸住宅には新型コロナウイルス感染症拡大の影響はさほどないとしています。

物流施設に関しても賃貸住宅とほぼ同様にネガティブな影響が少なくオフィスに関しては、ネガティブな影響が少ないと大きいが2極化する評価になりました。

賃貸住宅市場はいち早く反転回復する可能性

同調査では新型コロナウイルス感染症の流行が収束した場合の不動産投資市場の見通しについても質問しています。「いち早く反転回復する」「反転回復までに、半年程度の期間を要する」「反転回復までに、1年程度の期間を要する」「反転回復までに長期間を要する」の4段階でなかでも「いち早く反転回復する」とされた割合が最も高かったのは、物流施設の76.2%です。

次いで「レジデンシャル(シングル・ファミリー)」が65.3%で続いています。つまり時代や経済環境に左右されず住宅へのニーズが絶えることはないため、コロナ禍が収束すれば賃貸住宅市場はV字回復することが期待されているわけです。一方オフィスは「回復までに半年程度かかる」とする回答が46.8%と多くなりました。

ホテルについては「1年程度かかる」と見る専門家がビジネスホテルで45.6%、シティホテル46%と過半数に近い数字を占めています。賃貸住宅市場は「どんな時代にも強く極めて安定性の高い投資分野」という認識で一致している傾向です。

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