賃貸物件のオーナーにとって賃借人の家賃滞納は、お金の面だけでなくメンタル的にしんどい出来事です。単に1回限りの振り込み忘れで、のちに振り込まれたケースであれば精神的なダメージも少ないでしょう。しかし今まできちんと家賃を払ってくれていた人が「収入が苦しくなった」「予定していた入金がなくなった」などの理由で家賃滞納が発生すると今後の事業計画に大きく影響してしまいます。
コロナ禍により収入が減少したり失業したりする人が増えてくると滞納する人も増加する可能性も否定できません。そんなときにオーナーとしてどのように対策していけばよいのでしょうか。
賃貸滞納トラブルはできるだけ早く解決
「相手にも事情があるかもしれないので少し静観しよう」といった態度では、事態が悪化していく可能性が高いため、まずはすぐに行動に移すことが重要です。滞納常習者は、オーナーや管理会社の取り立てが厳しくないと家賃の支払いよりも自分の都合を優先して滞納を繰り返すことが少なくありません。ここでは毅然とした態度が必要です。
家賃は通常1ヵ月前の前家賃が原則のため、当月分は前月末まで入金してもらうサイクルが必要になります。まず期日までに確実に入金してもらうように督促、特に大切なことは「必ず1ヵ月以内に解決すること」です。滞納は後手になるほど回収が難しくなります。一般的には3~4ヵ月家賃滞納者を「悪質滞納者」とみなす傾向ですが、これを1ヵ月以内の滞納者を「悪質滞納者」と考えたほうがよいでしょう。
また「1ヵ月以内の入金」がない場合、まず家賃回収に努めます。それでもできない場合は、解約に持ち込むことが大切です。
家賃保証会社と連帯保証人の2段構えと滞納家賃回収
入居者の多くが学生や若いサラリーマンなど独身者が多い物件の場合は、契約時親御さんに保証人になってもらい賃借人に心理的な圧迫を持たせるのも良いでしょう。また親御さんが保証人になれない場合は、家賃保証会社を利用することをおすすめします。家賃滞納にいたってしまうケースは人によってさまざまです。
中にはコロナ禍の影響で家賃が払えなくなっているケースもあるでしょう。逆に実際は払える資力があっても入金を忘れたり怠慢であったりするなどで収受できないケースもあります。しかし連絡や相談もせずに滞納を続ける悪質滞納常習者は、基本的に賃貸借契約の解約を前提に話を進めることが賢明です。実際に家賃滞納者が発生した場合、以下の2つの方法を検討してみましょう。
信頼関係を築く
長年の賃借人で今まで一度も滞納がなかったような場合、何かしらの理由で収入が減り家賃が払えないケースもあるかもしれません。電話連絡などで相手の状況が把握できその理由がコロナ禍による収入減などの場合、高圧的な態度で臨んでも問題解決にならないこともあります。単に高圧的な物言いで家賃を払ってもらえたとしてもその後のオーナーと賃借人との信頼関係にひびが入りかねません。
家賃滞納の本当の理由を探り出しできるだけソフトランディングできる方法を探るのが第一のステップです。
強硬姿勢を貫く
家賃滞納者には、意図的な家賃滞納や家賃踏み倒しを画策するような悪質な人も残念ながらいます。まず保証会社と契約している場合は、保証会社に連絡を取り滞納家賃分を振り込んでもらいましょう。あとは、保証会社に任せます。しかし保証会社と契約していない場合は、賃借人が滞納した場合に「少額訴訟」を裁判所に提訴することを検討しましょう。
裁判所は、普段の生活で利用することが少ないため、あまりなじみのない人も多いかもしれません。しかし「いよいよ回収できないな」となった場合は少額訴訟を使います。例えば入居者がすでに退去してしまって行方が分からない場合、保証人となっている家族が被告となり原告はオーナーです。少額訴訟は、60万円以下の金銭支払いを求める場合に利用することができます。
訴訟といっても弁護士ではなく140万円以下の事案については司法書士でも対応することが可能です。簡易裁判所で開廷することが多い傾向ですが中には被告が出廷しないケースもあります。しかしそのときは基本的にその場で家賃支払いの判決が出るのが少額訴訟のメリットです。その後、オーナーに裁判所から「第1回口頭弁論調書」が送付されるため、その書面を内容証明付きで保証人に送付する段取りになります。
硬軟取り混ぜた回収方法
このように「オーナーはなぜ賃借人は滞納したのか」について早急に把握しその理由から硬軟取り混ぜた対処方法を探っていくことが大切です。その根底には「滞納家賃は必ず払ってもらう」という強い意志が必要です。「滞納者本人」「保証会社」「保証人」と請求しても難しい場合は、少額訴訟を検討する流れを把握しておくと今後の備えになります。
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