不動産投資
(画像=butterflyeffect/stock.adobe.com)

分譲マンションなどを買って賃貸住宅として運用を行う場合は、安定的に入居者を確保できる物件であることが重要になります。入居者を安定的に確保するためには、運用する物件にどんな設備を付ける必要があるのか、最近の賃貸住宅入居者のニーズを把握してしっかり対応している物件を選ぶことが重要になります。

賃貸入居者のニーズを把握することが重要

賃貸住宅入居者のニーズに関しては、さまざまな調査が行われています。アットホーム株式会社、株式会社LIFULLなどの不動産情報サービス会社が行っていることが多いですが、なかでも注目度が高いのが株式会社リクルート住まいカンパニーの調査です。毎年、首都圏、近畿圏などで「賃貸住宅契約者動向調査」を実施しており、結果がホームページに掲載されています。賃貸契約者のニーズが浮き彫りになっているので、賃貸住宅で不動産投資を考えていれば、必ずチェックしておきたいところです。

株式会社リクルート住まいカンパニーが2020年9月1日に発表した「2019年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」によると、不動産会社のポータルサイトの充実によって「不動産会社店舗への訪問数」「部屋探しの際に見学した物件数」が急速に減少しています。訪問件数については、10年前の2009年度には平均2.0件だったのが、2019年度には1.5件に減っています。また、物件見学数は2009年度には3.8件だったのが、2019年度には2.7件に減っているのです。

ポータルサイトがいかに充実しているかをチェック

賃貸住宅入居者は事前にポータルサイトで情報収集を行い、効率的に行動しています。したがって、テナントを安定的に確保するためには、ITに強い会社であることが重要になってきます。

自社で分譲したマンションなどに関して、どのようにしてテナント付けを行っているのかを確認しておきましょう。仲介会社を利用しているケースもあるでしょうし、提携先を持っている場合もあります。どんな会社にテナント付けを依頼しているのか、その会社がどのようにテナントを募集しているのか、それぞれのポータルサイトをチェックしておきましょう。

一昔前なら、不動産会社は入居希望者が店舗にやってくるのを待っていれば良かったのですが、最近ではポータルサイトなどを通して積極的に情報発信を行うことが不可欠になっています。それができないと、安定的なテナント付けは期待できません。

賃貸マンションは何よりも立地が優先

情報発信と同時に、賃貸住宅に求められるレベルは年々アップしているので、入居者ニーズに合う物件であるかどうかが大切であるのはいうまでもありません。

入居者ニーズに合う物件として優先されるのは「立地」です。持家としての分譲マンションもですが、賃貸マンションではいっそう立地が重視されます。ワンルームマンションの入居者は若くて忙しい会社員が中心なので、都心に近くて最寄り駅からの徒歩時間も短く、生活しやすい施設が揃っているエリアでないと、なかなか入居者を確保できないものです。特に、若い世代を想定すると、大型スーパーよりはコンビニ・ドラッグストア・コーヒーショップなどが揃っているエリアのほうが入居者を確保しやすくなります。

パンフレットなどで確認することも重要ですが、立地に関しては自分の足を使って確認するのがいいのではないでしょうか。可能な限り現地を回ってみて、自身が住みたいと思う場所であるかどうかを確認してみるのがいいでしょう。

「24時間ゴミだし」が満足度のトップに

確実にテナントを確保するためには、最新設備が付いているかどうかを見極めるのも重要です。

先のリクルート住まいカンパニーの調査で「満足度の高い設備」に関する質問項目への回答では、「24時間出せるゴミ置場」が68.1%で4年連続トップでした。次いで「無料インターネット完備」(67.9%)、「TVモニター付きインターフォン」(67.5%)などが続いています。

また、「次引っ越す際に欲しい設備」に関しては、「エアコン付き」が61.7%でトップでした。特に夏の気温が上昇、住宅内での熱中症が増えている近年では、エアコンは必須であり、物件選択の最優先項目となっています。次いで、「独立洗面台」(55.6%)、「TVモニター付きインターフォン」(51.4%)が続き、「満足度の高い設備」ではトップだった「24時間出せるゴミ置場」が46.1%で4位に入っています。

設備の充実は家賃アップにつながる?

同調査で興味深いのは、「家賃が上がっても欲しい設備と許容額」という項目です。賃貸住宅入居者が、高い家賃を払ってでも住みたいと思うような設備の付いた物件であれば、安定的な入居者確保につながるでしょう。家賃アップによって、「利回り」(年間賃料収入が取得価格に占める割合)が高くなり、効率的な不動産経営を行うことができます。

家賃が上がっても欲しい設備のトップには、「独立洗面台」「オートロック」「システムキッチン」「エアコン付き」の4つが挙がり、許容額は1,700円でした。「独立洗面台」はトイレや浴室とは別に洗面台がある物件で、特に女性に人気が高い設備です。「オートロック」「システムキッチン」も同様です。

他物件との差別化を図れる最新設備

次いで、「スマートキー」が1,600円で5位に挙がっています。スマートキーは、カードキーやシールキーなどをかざすだけで開閉ができるキーのことです。最近では、かざすまでもなく、ポケットや鞄に入れているだけで開閉できるキーもあります。

重い荷物を持っているときや子どもを連れているときなど、両手がふさがっているシーンでも簡単に開け閉めができますし、新型コロナウイルス感染症が気になる時代でも、非接触で開閉できるのは安心材料です。もちろん、鍵穴がないためピッキングなどの防犯対策にもなります。

このスマートキー、新築マンションでは広がりつつありますが、中古マンションまで含めると設置率は1割以下にとどまっているといわれています。それだけに、スマートキーの付いた賃貸住宅なら、他物件との差別化を図ることができます。

こうした賃貸住宅入居者ニーズに対応した最新設備が付いているかどうかも、重要なポイントになってくるでしょう。

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