高齢化,サ高住

高齢化が進む日本。高齢者向けの施設には様々な種類があります。公的施設である特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、聞いたことがありますね。一方で、近年急増しているのが主に民間企業が運営する「サービス付き高齢者向け住宅」と「有料老人ホーム」。どんな施設なのでしょうか。

目次

  1. サービス付き高齢者向け住宅とは
  2. 有料老人ホームとは
  3. サ高住と有料老人ホームの違い

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」とも呼ばれます。2011年10月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(通称:高齢者住まい法)が改正され、高齢者が安心して暮らせるサービスを提供するバリアフリー構造の賃貸住宅として誕生しました。

高齢者住まい法は、高齢者が安心して生活できる居住環境の整備をめざして2001年に施行されました。それから高齢世帯の急激な増加や、諸外国と比較して高齢者住宅が不足している状況等を背景に2011年に全面改正されました。もともと、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)・高齢者専用賃貸住宅(高専賃)・高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)の3種類がありましたが、制度が複雑であることやサービスに関する基準が曖昧であったことから、「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化されました。

さらにサービス付き高齢者向け住宅の共有促進のため、以下のような支援措置がとられ、事業に参入する民間企業が増えていったと考えられます。

① 建築・改修費に対し、国が民間事業者・医療法人・社会福祉法人・NPO等に直接補助
② サ高住として登録を受ける賃貸住宅の建設・改良に必要な資金について、住宅金融支援機構より融資が受けられる
③ 固定資産税額の軽減(5年間、市町村が条例で定める割合を軽減)
④ 不動産取得税の軽減(家屋の課税標準から1,200万円控除/戸、等)

サ高住の特徴として、その名前の通り「安否確認」と「生活相談」の2つのサービスが義務付けられていることです。日中は看護師や介護福祉士といった指定の資格を持つスタッフが常駐しています。自由度が高く、契約形態も通常の賃貸借契約ですから、基本的には「介護の必要がない比較的元気な高齢者のための施設」といえます。しかし施設によって提供されるサービスは様々であり、介護サービスが受けられるものもあります。(重度の介護になった場合、退去しなければならない場合があります。)利用者の希望や要介護度に合わせて選べるというのが最大の特徴です。

有料老人ホームとは

自立から要介護まで、幅広い高齢者を対象とした介護施設のことをいいます。3つのタイプがあり、提供されるサービス内容が異なります。

【介護付有料老人ホーム】
介護が必要で、自宅での生活が困難な高齢者が入所できる。特定施設入居者生活介護として指定を受けており、スタッフによる身の回りの世話や食事、入浴、排せつ等の介護サービスを原則24時間受けることができる。

【住宅型有料老人ホーム】
生活支援サービスが付いた高齢者向けの施設で、比較的自立した生活ができる高齢者が対象。介護が必要となったときは外部の介護サービス事業者と別途契約をして、在宅介護保険サービスを利用しながら生活できる。

【健康型有料老人ホーム】
家事サポートや食事等のサービスが付いた高齢者施設。原則として自立した高齢者のみが入所でき、温泉やスポーツジムなど、健康な状態をなるべく維持することを目的とした設備が充実している。

有料老人ホームはサポートが手厚く様々なサービスを受けることができ、快適に過ごすことができる施設として人気があります。契約形態はサ高住と異なり、施設に住む権利・利用する権利・介護をはじめとしたサービスを受ける権利といった利用権契約となります。そのため外出・外泊の際は届出が必要です。

サ高住と有料老人ホームの違い

種類介護付有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム健康型有料老人ホームサ高住
特徴主に介護を必要とする高齢者が、介護や生活支援を受けて居住する施設自立~要介護高齢者が生活支援を受けて居住する施設食事や生活支援等の サービスが付いた自立した高齢者向けの居住施設主に自立した高齢者を対象に様々な生活支援のついた居住施設
対象者原則 65歳以上
自立・要支援1~要介護5
※施設により異なる
自立・要支援1~要介護5
※施設により異なる
自立した高齢者のみ
※介護が必要になったら退去が必要
原則 60歳以上
主に自立~軽度の要介護
※施設により異なる
費用入居一時金:0~1億以上
月額費用:12~40万円
入居一時金:0~1億
月額費用:12~40万円
入居一時金:0~数千万以上
月額費用:12~40万円
敷金:主に家賃の2~3か月分
月額費用:5~25万円
居室面積個室 13㎡以上個室 13㎡以上個室 13㎡以上個室 原則25㎡以上
※条件を満たせば18㎡以上でも可
サービス介護サービス
(食事・入浴・排せつ)
食事の提供、リハビリ
健康管理、レクリエーション
身体介護、食事の提供
生活支援、健康管理のうちどれか一つ以上を提供
食事や生活支援等安否確認
生活相談
生活支援
(掃除、買物代行等)
契約形態利用権契約利用権契約利用権契約賃貸借契約

有料老人ホームに費用に含まれる入居一時金とは、入居時に支払う費用で施設によって金額に大きく幅があります。この入居一時金は一定期間で償却することになっています。もし償却期間途中に退去することとなった場合、未償却分は返還されます。また入居後3カ月以内に退去すると、クーリングオフ制度が適用されて入居一時金は全額返還されます。

サ高住は国からの補助金制度もあり、今後さらに民間企業が参入していくと考えられます。同時に高齢者や要介護者の増加が見込まれることから、高齢者向けの住まいや施設も増えていくと予想されます。土地活用の案として、通常の賃貸住宅を建てるのではなくサ高住を検討してみるのも良いかもしれません。

入居については高齢者の健康状態や趣向によって向き・不向きがあるため、施設の違いや特徴を把握し、より適切な施設選択をしましょう。

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