「派手髪iOSエンジニア」のキャッチフレーズを持つAkioさん(@akio0911)は、国産ヘルスケアアプリや、訪日外国人対策サービス Paykeなど、近年注目のアプリ開発に携わるフリーランスエンジニアだ。

フリーランスにはさまざまな働き方があるが、Akioさんは数社と契約し、各企業のニーズに合わせて、開発作業や開発体制の整備、エンジニアの業務の効率化などにコミットする。その傍ら、個人でエンジニア向けの短期講座「アプリ道場」を運営したり、セミナー登壇したり、SNSでは姿勢改善トレーニングやピアノに打ち込む姿のログを残したりするなど、その精力的な活動でエンジニア層から高い人気を集めている。

自分らしい働き方を追求しながら高年収を維持し、さらに容姿(体型改善・洋服・髪)やライフワーク(ピアノ)など趣味の活動も楽しむAkioさんの日常はどのようなサイクルで動いているのか。Akioさんの仕事観や時間管理術を全3回のインタビューで深堀ってみると、どうやら、そもそもの「仕事の定義」が異なるようだ。(取材・宿木雪樹 / 写真・大口葉 / 特集協力・一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

Akioさん
派手髪iOSエンジニア。大学卒業後、受託開発会社や物流会社などを経て2010年に独立。著書に「iPhoneアプリ開発レシピ」「cocos2d for iPhoneレッスンノート」など。東京・大阪にて初心者向けのアプリ開発講座「アプリ道場」を主催。現在はヘルスケアベンチャーやインバウンドベンチャーなどでiOSアプリの開発に携わっている。趣味はファッション、ピアノ、ジムでのトレーニング。

「職」と「仕事」の区別

Akioさん
(画像=写真=大口葉撮影,ZUU online編集部)

――現在はどのような形で働いていますか?

週5日を2社に振り分ける形でiOSアプリの開発に携わっています。開発作業がメインの企業もありますし、開発周辺にある課題を広く解決する立場の企業もあります。

クライアントによりますが、アプリ開発の体制を整え、そのアドバイスをしたり、自動化できるタスクを検討したり、開発環境のツール選定などを行うこともあります。

私は一緒に手を動かすのが好きなタイプなので、技術顧問というのも少し違いますし……厳密な肩書はありません。いわゆるエンジニアとしては、主流の働き方ではないかもしれませんね。

――肩書のない仕事をフリーランスとして獲得するのは難しくありませんか?

いえ、むしろそちらのほうがフリーランスに適しているのではないでしょうか。

私は「職」と「仕事」は別のものとして区別しています。

「職」とは、ひとつのスキルを収斂(しゅうれん)してそのサービスのみを提供する、いわゆる「職人」を指すものだととらえています。たとえば、靴の修理などがこれにあたるでしょう。靴の修理は必ず求められる仕事ですが、一方で一人あたり求められる頻度は低い。駅などの人が集まる場所で出店しなければ商売になりません。さらに言えば、その駅を通過する人と靴が壊れる頻度のデータから、どれほどの収益が得られるかはある程度予測できます。こうした戦略を通じ、決まったサービスを提供することで生業とする考え方は、ある種サラリーマン的です。

「職」を突き詰めてスペシャリストになる場合、フリーランスの強みのひとつである柔軟性が生かせません。フリーランスの場合、ブログや書籍の執筆やセミナー開催などさまざまな方向性で困りごとを解決する手段が選べます。こうした仕事のポートフォリオの組み方が自由であることが、フリーランスの年収やキャリアに関わってきます。

一方「仕事」とは、困りごとの解決です。かつて武士は剣の道場や傘張りや提灯づくりなども行って暮らしていたという話を聞いたことがありますが、こうしたフレキシブルな働き方で困りごとに対峙していくのもフリーランスとしての一つの選択肢だと思います。

「職」と「仕事」、どちらの方法が優れているというわけではなく、フリーランスの強みを生かせるのは「仕事」という考え方です。例えば、いきなり月30万の困りごとを見つけるのは大変ですが、月3万の困りごとを10個見つけるのはそんなに難易度が高くないでしょう。

スキルはあくまで課題解決のための基盤

Akioさん
(写真=大口葉撮影)

――フリーランスとしてAkioさんが仕事を選ぶとき、何を基準にしていますか?

フリーランスに限らず、仕事の価値とはそもそも自分とクライアントの間の分業価値であり、つまりは「困りごとの解決」だと考えています。

魚を獲る人と獣を狩る人の例を考えるとわかりやすいでしょう。魚を獲る人が肉を食べたいと願ったとき、獣を狩る人に依頼することで困りごとを解決できる。この困りごとの解決が仕事だという定義に基づき、自分と企業との間で良い影響を与え合えるかどうかを判断基準にしています。

――とはいえ、自身の強みを「職」に頼らず伝えることに不安を感じます。

よく「地方には仕事がない」という話を耳にしますが、人口が少ないからと言って困りごとがなくなるわけではないですよね。人が生きている限り、誰かが何かに対して必ず困っている。その困りごとに対して自分が何を提供できるかを考え続けている限り、仕事がなくなることはありません。

「職」にこだわって誰かに売ろうとするから仕事にならないのです。市場のニーズを考え、自分の仕事を転用していく柔軟さがあれば良いのではないでしょうか。

フリーランスとして生きるのであれば、固定概念を捨てたほうが自身にとっても関わる企業にとっても利益は多いと思います。もちろんスキルは必要ですが、それはあらゆる困りごとを解決するための基盤と捉えると良いでしょう。

「仕事」を強みとし、ニーズのある価値を提供する

「プロフェッショナルとしてのスキルを強みに働く」という典型的なフリーランスのイメージを覆すAkioさんの仕事観。それは世の中のニーズを満たすものであれば、十分な年収に直結する仕事として成立するということを気づかせてくれる。

・仕事とは、世の中の困りごとを解決することである
・「職」と「仕事」を区別し、困りごとの解決のために何ができるか考える
・「スキル=職」はあくまで困りごとを解決するための基盤である

フリーランスの仕事術の前提にある、何を提供できるかという価値基準。この主軸に立ち返ることで、企業や地域、プロジェクトに価値を生み出せる人材になることができるだろう。

中編では、この礎をもとに年収を高めるための考え方をさらに詳しく伺った。

【Akioさんに聞く・中編】につづく)

>>【無料小冊子】不動産投資ローンマニュアル - 仕組みから審査攻略法までを解説

>>【無料小冊子】40の金融機関と接する融資のプロがコロナ禍でも融資を引き出せる方法を解説

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