面白くてためになる!?不動産系マンガの世界
(画像=HelloRF Zcool/Shutterstock.com)
平 行男
平 行男
フリーライター。企業広報の制作会社を経て2005年からフリーランスに。主にビジネス、マネー、ITの分野で、Web、書籍、広報・販促媒体などメディアを問わず執筆活動を展開している。ライティングのほか企画・編集・簡単な撮影も行う。

医療、法律、政治……専門分野をテーマにしたマンガは多数あります。数こそ多くないものの、不動産をテーマにしたマンガもあるのをご存じでしょうか。読んで面白く、かつ勉強にもなる、不動産系マンガをピックアップしてご紹介します。

正直不動産 小学館/大谷アキラ、夏原武(原案)、水野光博(脚本)/既刊5巻

嘘を厭わぬ口八丁で売上No.1を叩き出す不動産会社のすご腕営業マン・永瀬は、あるきっかけで嘘が一切つけなくなってしまいます。物件売却希望の顧客に対して、自社にうま味のない一般媒介契約をおすすめするなど、本音をさらけ出してしまい失敗を重ねます。

営業成績は落ち、上司に叱られ、悩みますが、その正直な態度が逆に顧客の心をつかみ、話が良い方向に転がることも。そこで主人公は、苦戦しながらも正直営業で生きていくと決意する……そんなストーリーです。「サブリース」「両手取引」「囲い込み」「欠陥マンション」などホットなトピックを盛り込みつつ、不動産業界の暗部を、皮肉を込めてリアルに描いています。

吉祥寺だけが住みたい街ですか? 講談社/マキヒロチ/既刊6巻

住みたい街No.1として知られる吉祥寺。そんな吉祥寺に憧れてやってくる女性客に、不動産仲介業を営む双子姉妹は、なぜか五反田、錦糸町、蒲田など吉祥寺以外の街ばかりを紹介していきます。当初は疑問に思っていた女性客も、知らない街をぶらぶらし、物件を見るうちに、「自分が住まいに求めていたものはこれだ」と気づき、新しい生活を手に入れます。

主人公の二人と登場人物のやりとりはコミカル。しかし、顧客も気づかない本当のニーズをくみ取って、物件そのものではなくライフスタイルを提案する、提案型営業の大切さを教えてくれるマンガといえるでしょう。

なぎとのどかの萌える不動産 講談社/板倉梓/全2巻

バイト先の会社が倒産になり、たまたま会った幼なじみに誘われて不動産会社「萌える不動産」で働くことになった主人公が、賃貸の古民家、ネコつき一軒家、シングルマザー向けシェアハウスなど、さまざまな物件との出会いを通じて成長していく。そんなハートフルなストーリーです。絵柄は少女マンガですが、不動産会社の描写はリアル。2巻で終わってしまったのが惜しまれます。

大家さんシリーズ ぶんか社/東條さち子/全3巻

マンガ家のかたわらアパート経営する著者が、不動産経営の実態を描いたコミックエッセイ。『主婦でも大家さん』からスタートし、『大家さん10年目。』でアパート3棟のオーナーになり、最終巻の『大家さん引退します』で不動産経営を断念するという、足かけ12年にわたるエピソードが面白おかしく語られています。失敗事例として参考になります。

〈番外編〉インベスターZ 講談社/三田紀房/全21巻

北海道にある架空の学園を舞台に、主人公の中学生が、株式やFX、金などさまざまな投資にチャレンジしていきます。「投資で成功するためには何が必要か」という本質に気づかせてくれるマンガ。14、15巻は不動産対決がテーマで、示唆に富んだ内容となっています。

〈番外編〉ナニワ金融道 講談社/青木雄二/全19巻

マチ金(消費者金融)の営業マンである主人公を中心に、借金にまつわるリアルな人間模様を描いた金融マンガの金字塔。不動産会社の社長がマチ金にはめられたり、借金を返せなくなった人が不動産を取られたりと、エピソードの随所に不動産の話題が出てきて、金融と不動産が密接な関係にあることを実感させられます。マンガが描かれた当時と現在では法律が異なる部分もある点には注意が必要です。

マンガをきっかけに不動産を知る

読んでみたいと思う作品はあったでしょうか。人々の生活と密接にかかわる不動産ですが、仕事内容が専門的かつ幅広く、素人にはわかりづらい世界です。それでもマンガであれば、興味深く読むこともできるかもしれません。マンガをきっかけに、不動産の奥深い世界を味わってみてはいかがでしょうか。

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