2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは、建設・投資需要も積極的で価格上昇も期待できるといわれています。オリンピック後に急速に需要が減少して下落するのではないか……そんな見方をする人も少なくないようです。しかし、それは的外れかもしれません。なぜなら、東京圏を中心に2021年以降も活発な投資が続くことが期待できるからです。
東京圏では大規模プロジェクトが目白押し
東京圏では、各地で大規模なプロジェクトが進行しています。たとえば、東京駅近くの『常磐橋街区再開発プロジェクト』では、完成すれば約390メートルの超高層タワーが姿を現しますが、その完成予定は2027年です。品川駅近くでは、JR山手線の新駅『高輪ゲートウェイ駅』の建設、近くでは『品川開発プロジェクト(第1期)』の建設が進められ、2024年の街開きが予定されています。
さらに、渋谷駅では100年に一度といわれる再開発が進められ、次々と新たなオフィスビル、商業施設が建設されています。しかも、2020年完成予定の大規模オフィスの多くは現段階でテナントが決まるほどの人気で、ニーズには底堅いものがあります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックが終われば景気が後退し、不動産価格も下がるのではないという見方は当たらないかもしれません。
日本、とりわけその中心である東京圏のポテンシャルは高く、今後も不動産投資先としての魅力がますます高まっていきそうです。
オリンピック後も好調さが継続すると見る専門家も
実際、不動産投資の専門家たちも高い投資意欲を継続している傾向です。一般社団法人日本不動産研究所が2018年10月に行った『不動産投資家調査』によると、今後の市況見通しを投資先のジャンルごとに質問しています。それによると、オフィス市場に関しては「現在の(好調な)状態が2020年頃まで続くだろう」とする人が57.9%で第1位です。
一方で、「現在の状態が2021年頃まで続くだろう」とする人が8.3%、「現在の状態が2022年頃まで続くだろう」とする人も15.7%に達しています。同様に、ワンルーム・ファミリー向けなどの投資用マンション市場に関しては、「現在の状態が2020年頃まで続くだろう」とする人が56.6%で第1位です。また、「現在の状態が2021年頃まで続くだろう」が8.8%、「現在の状態が2022年頃まで続くだろう」が17.7%となっています。
公的年金などの不動産投資意欲が高い状態続く
同調査では、今後の日本の不動産市場に関するネガティブな要因、ポジティブな要因の質問も行っています。ネガティブな要因に関する回答は、1位「金利上昇リスク」、2位「レンダーの融資姿勢の変化」、3位「突発的な偶発事象」です。たしかに、アパート経営などに関する不正融資問題から金融庁の融資に対する姿勢が厳しくなっています。
金利上昇リスクに関しては、日本銀行が2020年頃までは現在の金融緩和策を続ける姿勢を明確にしており、最大のリスク懸念は弱まっているといえるでしょう。一方、ポジティブな要因に関する回答は、1位「インバウンド投資の加速」、2位「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的年金による不動産投資」が双璧に挙がっています。
このところ、中国を中心とするインバウンド投資は一服感がありますが、アジアのなかでの日本、なかでも東京の魅力は抜きんでており、海外からの投資が今後も続くであろうことは間違いありません。また、超低金利時代ですから投資先としての金融商品の魅力は低下したままであり、公的年金などの不動産への関心は高い状態が続いています。不動産投資の専門家たちの見立てからも、当分は不動産投資の魅力が高い状態が続きそうです。
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