コロナ禍で国内別荘の価値が見直されています。その背景にあるのは、ビジネスマンのテレワークの普及や富裕層の国内旅行への回帰などです。この流れに乗って別荘(リゾート、セカンドハウス)を利用した個人投資の可能性も高まっています。そこで今回は国内別荘の不動産投資における市場背景やメリット・デメリット、事業開始のステップについて確認していきましょう。
コロナ禍で別荘の販売棟数が2倍になったエリアも
新型コロナ前後で国内別荘の市場環境は大きく変わってきています。新型コロナ前は、一部のインバウンド好調エリアを除いて物件価格を安くしても売れない別荘地も目立ちました。一例としては、2019年12月の日経QUICKニュース上に「別荘地としては超一等地の旧軽井沢でも売り物件が目立つ」というリポートが掲載されています。
なお安値で物件が放出されている理由について同記事では「相続や世代交代の影響が大きいようだ」と分析。コロナ後は、テレワークが普及したことにより国内別荘地の関心が高まっている傾向です。2020年6月7日付の日経新聞では、那須地域で別荘の販売棟数が前年比の約2倍になった事例が取り上げられています。
この背景には、経営層や研究者、クリエイターなどの個人がテレワークをする場所として別荘を利用していること。あわせてIT企業を中心にサテライトオフィスや合宿所として別荘を利用するニーズが高まっている流れなどが影響しているようです。
別荘投資(リゾート、セカンドハウス)のメリット・デメリット
このような別荘ニーズの高まりに合わせて別荘投資の魅力が個人投資家に再認識されています。別荘投資とは、別荘を保有しながら使わない時期に貸し出して収益を得るスキームです。別荘投資は、一般的な賃貸経営とはまったく違う特徴を持っています。メリット・デメリットを整理すると以下のようになります。
別荘投資のメリット:賃貸経営以上の収益が期待できる
別荘投資は、稼働率が高ければ一般的な賃貸物件よりも高収益を得られる可能性もあります。ただし収益は稼働率に合わせてリターンを自主的に得る形態のほかに管理会社(リゾート会社)から年間の固定賃料を得る形態も。後者のリターンは稼働率に左右されません。
別荘投資のデメリット:手間がかかる
別荘投資は、一般的な賃貸経営よりも以下のような手間がかかります。
- 庭の植栽の手入れ
- 除雪
- 道路水道ガスなどのインフラ管理
- 不審者が入っていないかの防犯管理など
遠隔で管理する場合は「信頼できるパートナーと出会えるか」で安心度合いが大きく変わるでしょう。
別荘投資で収益化するまでの5ステップ
1:販売・管理会社の選定
一般の投資家が別荘投資を遠隔で行うには、売買・集客・管理をサポートしてくれるパートナーの存在が必要不可欠です。別荘の販売・管理を得意とする会社には、大手のリゾート会社、中小の専門企業などがあります。ただし民泊経営など経験値のあるオーナーは自主管理も可能です。
2:エリアの絞り込み
パートナー企業が見つかった場合は専門家の知見やアドバイスを参考にしながらエリアの絞り込みを行います。特にニーズが高まっているのは、都心から車や新幹線を利用して数時間内で行ける別荘地です。例えば関東甲信越であれば以下のようなエリアが考えられます。
- 伊豆、熱海
- 房総
- 富士山麓
- 箱根
- 軽井沢
- 草津
- 湘南、三浦など
3:各種手続き
大手リゾート会社の別荘を利用する場合は、各種手続きが不要なこともあります。しかし中小の専門会社経由で別荘を取得した場合は、開業手当や旅館業法(または民泊新法)の申請、用途変更などの手続きがマストです。これらはパートナー企業に代行してもらえることもあります。
4:集客
大手リゾート会社の別荘の場合は独自のネットワークでの集客、中小の専門会社経由で購入した別荘の場合は Airbnb(エアビーアンドビー)など集客プラットフォームなどの利用がマストです。
5:運営
パートナー企業のサポートによる管理・運営が基本です。そのため「どのような管理サービスがありどれくらいコストがかかるのか」を事前確認するのが望ましいでしょう。あわせて将来の修繕費の目安や売却時の対応などもしっかりヒアリングしておくと安心です。
安定性重視であれば一般の賃貸経営がベター
別荘の投資は手間がかかりがちなため一般的な賃貸経営と同じ感覚で参入してしまうとリスクが高くなります。そのためメリットやデメリット、フローをよく理解したうえで検討しましょう。また天候などの影響で安定した収益を見込めない可能性もあるため、あくまでも余力で行うのが賢明です。
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