新しいテナント支援の形・リレーションショップが湘南エリアに現れた。リレーションショップとは、関係性=リレーションシップに掛けて、テナントとの関係性を意味し、テナント支援を行っているショップのこと。その先駆けとして、貸ビル業を展開する相澤土地グループ会社undone(神奈川県藤沢市)がオフィスビル「アイクロス湘南」で、DXカフェ「café Ideal(カフェ アイディール)」を8月24日にオープンした。 JR湘南新宿ライン・辻堂駅から徒歩5分の好立地で、ビルオーナー主導のテナントDX支援を紹介する。

湘南,リレーションショップ

ITを体感する場としてのDXカフェ

 「café Ideal」は「ビジネスが加速するDXカフェ」をコンセプトに、IT総合商社であるWizが強みを生かして、企画・インフラ・採用・集客・データ分析などをトータルでコーディネートした。
 Wizは全国に拠点を構えていて、2019年10月に湘南支社を設立し「アイクロス湘南」に入居することとなった。ビルオーナーである相澤土地とはオーナーとテナントとの関係を構築し、ビル内のWi-Fi環境を整備した。
 「Café Ideal」はぱっと見カフェ。テナントワーカーや近隣の人たちが仕事をしてランチを楽しむ。一方で、カフェ内には様々なITツールを導入した。店内はセルフオーナーシステム「P2C KIOSK」で無人注文・決済が可能になっている。また、テナントはIoTオーダーシステム「Putmenu」で遠隔注文が可能となっている。これらの機能は提携オフィスビルでも利用できる。ITテクノロジーを活用することで購入・決済・受取の流れを短縮し、ビジネスマンのニーズに応えていく。
 周辺企業のビジネスやDX化などの情報交換の場にもなる。平日18~20時の時間帯には異業種間の情報交換が可能なラウンジタイムを設定した。またDXを身近に体験できる場所としても開いていく。
このような場所を作った狙いは何か。
今回のプロジェクトの仕掛人であるWiz社長室課長の山田将太郎氏は「これまでのITから、それを活用して業務効率化や付加価値創造を実現する『DX』にフォーカスされるようになって、大手企業はもとより中堅、中小企業の多くでもこの課題に取り組む姿勢が強まっています」と話す。しかし、一口に「DX」と言っても各社によって課題は異なり、どのようなツールを導入すれば良いかも変わってくる。「リアルに体験してもらい、情報収集・情報交換を促していくことで検討するきっかけとなれば」と、「café Ideal」を企画するに至った。
 運営するundoneの母体は、ビルオーナーである相澤土地だ。同社取締役アイクロス湘南事務所長で、undone代表取締役の相澤利春氏は「もともとビルの1階でテナントや地域の方々が交流できるようなカフェのオープンを計画していました」と明かす。その計画を検討する中でWizから提案があり、今回のDXカフェにつながった。オーナーの狙いはテナント支援だ。
 「当社ではテナントとの関係性や信頼性の構築に力を入れています。現在も賃料は手渡しでいただいていまして、最低でも月に1回はテナント様とコミュニケーションを取るようにしています。またテナント向けにバーベキューなどのイベントを開催することで、オーナーとテナント、テナント同士のコミュニケーションの構築に力を入れています」
 アナログで人間関係を作ってきた一方で、相澤氏はテナント企業への支援を考えてきた。「カフェというプランは以前から考えていましたが、Wiz様からご提案をいただいて、『café Ideal』をつくることができました」とのこと。DXという最新のニーズにマッチした取り組みをすることで、テナント企業の業績や地域の活力向上も支援していく構えだ。  

コロナ禍でも来店客多数

 このプロジェクトは新型コロナウイルス感染拡大以前から両社で話し合われてきた。もちろん、影響がないとは言い切れない。山田氏、相澤氏ともに「こういう時だからこそ意義があるのでは」と口をそろえる。
 DXはコロナ以前から必要性が指摘されてきたが、コロナ以後は導入ニーズが格段に強まった。移動に制限がかかり、出社を制限していかなければならない中で、遠隔や非対面・非接触は各企業で急務の課題となっている。「オフィス以外のワークプレイスとしてご利用いただいたり、近隣の企業の社員さんや周辺に住んでいる人、フリーランスの方がテレワークでいらっしゃったりしています。もちろんカフェとしてコーヒーを楽しんでいただいています」(相澤氏)。
 今後はイベントなども企画している。テナント企業はもちろんのこと、エリアの企業や住人、来街者などのマッチングも企画している。山田氏はDXカフェについて「他のエリアへも、地域プレイヤーと一緒に連携して展開を予定しています」と話す。
 DXをツールにテナント支援の新しい形ができあがっていくか。これからの取り組みについて注目したいところだ。

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