不動産投資なら首都圏、東京、23区へ絞り込み 資産価値が上がるのは地価相場の高いエリアだけ
(画像=ESB Professional/Shutterstock.com)
山下和之
山下和之
1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などの著書がある

総務省統計局によると、わが国の人口は2005年ごろから減少し、しばらく持ち直したあと2011年から継続的に人口減少が続くようになっています。しかし、それはあくまでも全国的なことであり、地方から大都市圏、特に東京圏への人口流入が続き、東京圏とその他の地域との格差が年々拡大しつつあります。

2018年の人口移動をみると、東京圏1都3県の人口は13万人以上増加しており、残る43道府県のすべてから東京圏へ人口が移動しているのです。

東京圏の地価や不動産価格の上昇が突出

その結果、ニーズの強い東京圏の地価や不動産価格が上昇し、その他の地域との格差が年々大きくなっています。たとえば、国土交通省による2019年の『公示地価』の住宅地の平均をみると、東京圏の上昇率は1.3%ですが、全国平均は0.6%の上昇にとどまり、3大都市圏以外の地方圏では0.2%の上昇でした。

地価のなかでも「先行指標的な役割を持っている」といわれる商業地をみると、首都圏の平均は4.7%の上昇に対して、地方圏は1.0%の上昇です。東京圏への人口の一極集中が進むなかで、地価についても、東京圏とその他の地域の格差が大きくなっています。しかも、東京圏のなかでも都心部と郊外の格差が拡大しています。

公示地価をみると2019年の住宅地では、東京都平均では前年比3.0%の上昇に対して、都区部は4.8%の上昇で、なかでも都心8区だけをみると6.0%も上がっています。それに対して、23区以外の多摩地区の上昇率は1.0%にとどまります。また、東京都以外の神奈川県平均は0.3%、埼玉県は0.8%、千葉県は0.7%の上昇率でした。

東京圏でも都心と郊外では上昇率に大きな格差

日本全体でみれば東京圏への一極集中が進んでいますが、東京圏のなかでも都心への一極集中が進むという二重の一極集中が進展しているといっていいでしょう。これは、不動産価格をみても同じです。たとえば、不動産経済研究所がまとめている『首都圏マンション市場動向2018年度』によると、2018年度の首都圏における新築マンションの平均価格は、5,927万円でした。

2012年度の平均は4,563万円でしたから、6年間で29.9%の上昇になります。首都圏の1都3県のなかでも最も平均価格の低い千葉県をみると、2012年度の3,609万円に対して、2018年度は4,254万円です。上昇率は17.9%にとどまります。しかし、東京都区部だけでみると、2018年度の平均は7,320万円です。2012年度の平均5,339万円に対して37.1%の上昇です。

東京都区部の上昇率は首都圏平均の29.9%より7.2ポイント、千葉県平均より12.0ポイントも高くなっています。人口集中が進む東京圏、都心の地価や不動産価格はますます上がり、その他の地方圏では上昇率は低く、ますます格差が拡大する一方です。

買いやすい価格帯の人気エリア周辺部に注目

現実の不動産投資を考える場合、都心の人気エリアの物件が一番有利ということになるのでしょうが、残念ながらそうしたエリアの物件は価格が高くて、簡単には手が届かないケースが少なくありません。また、高くなりすぎているため、「これ以上の大幅な上昇は望みにくいのではないか」という面もあります。

しかし、ひとくちに都心エリアといっても、まださほど注目度が高くなく比較的手ごろな価格帯で手に入るエリアもあります。たとえば、六本木、表参道、目黒など人気エリアの中古マンション取引価格における坪(3.3平方メートル)当たりの単価は500万円を超えますが、都心エリアでも岩本町、馬喰町、門前仲町などは300万円台で取得可能です。

これまではさほど注目度が高くないこともあって、比較的手ごろな価格が買えるようになっています。将来的に、こうした人気エリア周辺の相対的に取得しやすい価格帯のエリアへの注目度が高まるのではないでしょうか。

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