マンションを探しているユーザーにとって、どのような住宅設備が整っているかは物件選びの大きなポイントになります。入居者ニーズを捉えるには、すでに設置が当たり前になっている設備を導入しても差別化になりません。そこで、まだ設置が一般的にはなっていない空室対策に効果があるハイグレードな住宅設備を紹介します。
目次
入居者ニーズを捉えるハイグレードな住宅設備
マンション経営で最も心配なのが空室リスクです。区分所有であれば空室が出た途端に家賃収入が途絶えます。空室を出さないためには住み心地の良い住宅にして、入居者に長く住んでもらうことが大事です。
空室が出てしまった場合でも、すぐに入居者が見つかれば空室損は最小限で済みます。新たな入居者に選ばれるには、競合物件にはないハイグレードな住宅設備があれば有効なアピールポイントになります。ただし、「インターネット無料」「モニター付きインターホン」「独立洗面台」などはすでに多くの物件に導入されているので、ユーザーから見ればあって当然という認識になります。
また、エアコン、防犯カメラ、駐車場などマンションとして標準装備されているものはハイグレード設備とはいいません。
これから導入するのであれば、まだ導入している物件がそれほど多くないハイグレードな住宅設備を選ぶ必要があります。まだ差別化できる余地があるハイグレードな住宅設備を居室向きと共有スペース向きに分けて見ていきましょう。
居室向きのハイグレードな住宅設備5選
居室部分のハイグレード住宅設備としては、以下のような設備があります。キッチン周りの設備も多いので、システムキッチンとしてまとめて導入することも可能です。
スピーカー付き照明
スピーカー付き照明は、ハイグレードと呼ぶに相応しい住宅設備です。天井に取り付けた照明にBluetoothスピーカーが搭載されており、スマートフォンを使って音楽を天井から降り注ぐように流すことができます。一般的には一戸建てに導入される設備ですが、賃貸マンションにあればかなりの差別化になるでしょう。
スマートロック
スマートロックは、IoT住宅で採用されている最先端のセキュリティシステムです。スマートフォンのデバイスを使い、玄関・門扉の施錠や開錠ができます。外出先で施錠したか気になったときもスマートフォンで確認できるので便利です。玄関・門扉に取り付ける機器と、スマートフォンアプリの2つによりシステムが構成されています。
ディスポーザー
ディスポーザーとは生ゴミ粉砕機のことです。調理用流し台下に接続している配水管に取り付けます。水を流しながら生ゴミを粉砕処理するので、臭いの解消にもつながるのがメリットです。電気代や水道代が多少かかりますが、主婦にとっては利便性が高いので、ファミリータイプの物件なら導入するとよいでしょう。
ビルトイン食器洗浄乾燥機
ビルトイン食器洗浄乾燥機は、家事の時間短縮に有効な設備です。普通の食器洗浄機ではキッチンのスペースをある程度専有してしまいますが、ビルトインであれば表に出ないので、キッチンを広く使えて見た目もスッキリします。
自動洗浄レンジフード
レンジフードの汚れは主婦にとって大きな悩みの種です。自動洗浄レンジフードは、ファンが自動で高速回転し、ファンに付いた油汚れを吹き飛ばす仕組みです。ファンが吹き飛ばした油は備え付けのプレートがキャッチします。手入れも簡単で年末の大掃除が楽になると主婦に好評な設備です。
共有スペース向きのハイグレード住宅設備5選
一棟マンションのオーナーにとっては、共有スペースの設備の充実も大きな課題です。共有スペースにハイグレード住宅設備を設置することで、入居者だけでなく来訪した人に対しても施設の充実ぶりをアピールできます。
宅配ボックス
宅配ボックスは、ユーザーから要望の多い設備です。特に単身者にとっては、留守にする時間が長いため、宅配便を受け取れないケースが多くなります。エントランスやエレベーターホールを利用して設置すれば物件の大きな魅力になるでしょう。
24時間ゴミ集積所
仕事を持つ人にとって朝のゴミ出しは大変です。24時間ゴミ集積所があれば、都合のよいときに出すことができるので、住みやすさにつながります。ドアが付いているのでカラスに荒らされる心配もありません。入居者の利便性が高いことから大きな差別化になります。
太陽光発電システム
太陽光発電システムは、2022年の電力不足で脚光を浴びた住宅設備です。再生可能エネルギーの代表でもあり、エコ志向のユーザーから評価されることが期待できます。共用部連係にして共用部の電力を賄い、余剰電力を売電することもできます。各戸連係にした場合は入居者にメリットがあるので長期間の居住が見込め、空室の減少につながります。
エントランスオートロック
エントランスオートロックは、セキュリティ対策として高価格帯のマンションでは導入が当たり前の設備です。エントランスの鍵が自動でかかるため、居住者が開錠しないとドアが開かない仕組みになっています。来訪者があった場合は居住者が内側から鍵を開錠して招き入れます。セールス等が煩わしいという人には喜ばれる設備です。
検温機能付き消毒液オートディスペンサー
一棟マンションのオーナーは、新型コロナウィルス感染対策の責任も負っています。最近では検温機能付き消毒液オートディスペンサーを設置する施設が増えています。これまで施設入り口での感染対策は殺菌スプレーで消毒してもらい、係員がハンディ検温器で体温をチェックする二度手間になっていました。
この装置があれば、来場者が手をかざして殺菌すると同時に手が検温されて体温が表示されます。エントランスに置いて入居者に利用してもらうほか、集会所に置いて総会等の際の体温チェックにも利用できます。
▽主なハイグレード住宅設備一覧
居室向きハイグレード住宅設備(キッチン) |
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IHクッキングヒーター、ディスポーザー、ビルトイン食器洗浄乾燥機、自動洗浄レンジフード、パントリー、浄水器 |
居室向きハイグレード住宅設備(キッチン以外) |
インターネット無料設備、モニター付きインターホン、スマートロック、スピーカー付き照明、床暖房、複層ガラス、室内用物干し、浴室暖房乾燥機、省エネ給湯器、ウォークインクローゼット、ジェットバス、温水洗浄便座 |
共用スペース向きハイグレード住宅設備 |
宅配ボックス、24時間ゴミ集積所、太陽光発電システム、エントランスオートロック、検温機能付き消毒液オートディスペンサー、ゲストルーム、トランクルーム |
ハイグレード住宅設備の導入で差別化を図ろう
ハイグレード住宅設備は競合物件との差別化になりますが、予算の関係ですべての設備を導入することは難しいでしょう。その場合は、単身者向けの物件に必要な設備と、ファミリー向け物件によって必要な設備に分けて選ぶ方法もあります。
また、宅配ボックス、24時間ゴミ集積所、エントランスオートロックなど物件タイプに関わらず人気の高い設備もあります。利便性の高い生活に慣れてしまうと、他の物件に移ろうと思う人が少なくなるので、ハイグレード住宅設備の導入は入居者の安定につながります。
土地活用でこれから一棟マンションの建築を計画しているオーナーは、デベロッパーを兼ねた総合不動産会社に相談し、設計の段階からハイグレード住宅設備を組み入れてもらうのもよいでしょう。まずは不動産会社に気軽に相談し、他物件との差別化を図りましょう。
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