設備投資のコストと効果を考えよう
(画像=igorstevanovic/Shutterstock.com)
中林準
中林準
サラリーマンとして経理・財務の仕事をこなしがら、社会人2年目(2011年の時に区分マンション購入から不動産投資を始め、2018年に1棟マンションを購入する。現在は都内に4区分マンション、1棟マンションを所有し、年間グロス家賃収入は約2000万円。過去に中国駐在経験もあり。所有資格は、米国公認会計士、日商簿記1級、CFP、1級FP、宅地建物取引士、管理業務主任者。若手のサラリーマン・OLを中心にした不動産コンサルティングも行っている。

1棟マンションを所有すると、大規模修繕やエレベーター交換など共用部のメンテナンスコストを負担することになりますが、物件共用部のバリューアップについて自分自身で考えて決められるのがメリットです。

共用部のバリューアップには、エントランスのリノベーションや外壁塗装、防犯カメラ設置など、様々な方法があります。

設備投資の難しいところは、お金をかけたからといって、それが必ずしも効果を生むとは限らないことです。どんなに高価な設備を導入したとしても、入居希望者のニーズを満たさなければ、その設備投資は自己満足になってしまいます。

ということで、今回は効果的な設備投資についてお伝えしたいと思います。

費用対効果を考えた設備投資を行う

設備投資は、その必ずしもコストに比例して効果が上がるわけではありません。よって、少額の設備投資から行っていくのがベターです。

例えば、オートロックは主にセキュリティ向上のために導入しますが、部屋ごとにTV付きモニターフォンを設置する、エントランスに防犯カメラを設置するなど、より安価な設備投資もあります。

オートロックは、物件の戸数にもよりますが、300~400万円程度かかると言われています。一方、TV付きモニターフォンであれば、1部屋当たり工事費込みで2~3万円で済みますし、防犯カメラは1台あたり5万円以下で導入することができます。

TV付きモニターフォンを導入して入居者希望者が増えるのであれば、オートロックまで検討する必要はないかもしれません。しかし、競合物件がオートロックを設置しており、このままでは空室状態が解消されない状況であれば、思い切ってオートロックの設置を検討する必要があるでしょう。

重要なのは、お金をかければ必ず良くなるというものではないことです。お金をかけてもほとんど効果のない設備投資は無駄です。設備投資にはリスクもある、という認識を持つようにしましょう。

設備投資の目的を考える

では、効果的な設備投資をするために何を考えればいいのでしょうか。まずは、自分の物件に住む入居者のターゲットを決めることです。ただし、ターゲットを絞りすぎて汎用性のない物件にしてしまうと、かえって入居者希望者が集まりにくくなるので、ターゲットはある程度広めに設定しておいたほうがいいでしょう。

その上で、ターゲットが求めているが自分の物件にはない要素を補っていくことが、設備投資の主な目的です。

例えば、女性をターゲットにしているにも関わらず、オートロックなし、防犯カメラなし、TV付きモニターフォンなしというスペックでは、競争力は弱いと言わざるを得ません。競争力を少しでも上げるために、安価なTV付きモニターフォンから導入していくというのが、設備投資のあるべき流れと言えるでしょう。

地場の仲介会社担当者にヒアリング

最後に、地場で客付けをしてくれている営業マンの意見は必ず聞くようにしましょう。
彼らは、普段から入居希望者の意見や要望を直接聞いているので、貴重な情報を持っています。

例えば、自分ではセキュリティを強化すれば入居者が集まると考えていたところ、現地の地場業者にヒアリングすると、「部屋の間取りでキッチンが狭いので、そもそも女性はそこで敬遠してしまっている。オートロックにしたからといって女性の入居者が増える可能性は低い」とのアドバイスをもらうこともあるかもしれません。

どんなに少額の設備投資であってもコストであることに変わりはありません。地場で客付けをしている業者の意見を聞き、自分で検討した設備投資の内容と入居希望者のニーズが合致しているか確認するようにし、より費用対効果の高い設備投資をするようにしましょう。

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