内見者のイメージアップ! 賃貸経営はニオイも気にする時代
(画像=y_seki/Shutterstock.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

投資用物件のイメージアップでは、ハウスクリーニングやリフォームなど見た目の部分に意識がいきがちです。それも大事ですが、最近の若い世代や女性はニオイにとても敏感です。室内のニオイへの配慮も満室経営のキーファクターになります。具体的な対策を解説します。

ちょっとしたニオイが長期空室の原因かも!?

たかがニオイですが、されどニオイ。内見者の気持ちになれば、ニオイの重要性を理解できるはずです。例えば、立地も間取りも気に入った物件があったので、内見申し込みをしたとしましょう。しかし、実際にその部屋を訪ねると不快なニオイが充満していたら、「少し考えてみよう……」と即決しにくい方がほとんどではないでしょうか。

ご自身が経営されている物件を訪ねてみて、玄関に入ったときに少しでも臭気を感じるなら要注意です。若い世代や女性はニオイにとても敏感です。オーナーがちょっとしたニオイと感じるレベルが長期空室の原因になってしまう可能性もあります。

ニオイの4大原因 ハウスクリーニング後も残りやすいのは?

通常のハウスクリーニングでは、見た目はキレイにできても、ニオイまで取り除くのは難しい面もあります。なぜなら、部屋のニオイには複数の原因があるからです。

公益社団法人におい・かおり環境協会によると、部屋のニオイには次の4大原因があるとのこと。それぞれに適した対策が求められます。

細菌の繁殖によるニオイ

……カビやバクテリアがたんぱく質・脂肪などを分解することで発生

人工物からのニオイ

……タバコやプラスチック類などから発生

調理や加熱によるニオイ

……調理時の加熱や酸化反応によって発生

存在自体からのニオイ

……食品やペットフードがあることで発生
参照:「住まいの中の困ったにおい!その正体と解決方法」

これらのうち、「調理や加熱によるニオイ」と「存在自体からのニオイ」は、入居者の退去やハウスクリーニングで比較的取り除きやすいと考えられます。一方、「細菌の繁殖によるニオイ」や「人工物からのニオイ」はハウスクリーニング後も残りやすい可能性があります。

残りやすい部屋のニオイへの対策

におい・かおり環境協会のアドバイスに基づくと、残りやすい2つのニオイへの対処は次のようになります。オーナー自身でもしやすい内容なので、管理会社のサポートのもと実行してみましょう。

「細菌の繁殖によるニオイ」への対策

……重曹、クエン酸、酢水、エタノール、漂白剤などを効果的に利用

「人工物からのニオイ」への対策

……活性炭や空気清浄機などによりニオイを吸着させるのが最大のポイント

補足すると、一口に空気清浄機といっても消臭効果に大きな差があります。一例では、2019年6月にシャープが発売した除菌脱臭機は、空気浄化技術「プラズマクラスター」の放出量を従来品よりも格段にアップ。しつこいニオイはこういった高機能アイテムで解消するのも一案です。

90種類以上のニオイ成分に対応する室内脱臭サービスも

「自己努力では解決できないレベル」のニオイになると、専門業者の力を借りるしかありません。

室内脱臭の高度なサービスで注目されているのが、ナオス・テック社(東京都墨田区)とUR都市機構などが協力して開発された「ナオラップ®工法」。この工法では、室内の生活臭のもとになるアンモニアや酢酸など90種類以上のニオイ成分を測定・分析。それぞれにもっとも効果的な薬剤で消臭。合わせて世界最高レベルの消臭機で吸着するというものです。

さらに、同社が凸版印刷と共同開発した特殊シートで、ニオイを封じ込めた上で施工するので高い消臭効果が期待されます。料金は120万円−(都内80平方メートル、施工期間10日間−)の設定です。

ニオイは下水が原因だったというケースも

下水からのニオイが疑われる場合は、高圧洗浄という選択もあります。下水のニオイは、管内の汚れとそれが原因の空気の逆流により発生すると考えられます。高圧洗浄でこれらを解消し、防臭処置を施すことで改善する可能性があります。

業者によっては、マンション一室の高圧洗浄も可能です。ただし、マンションによっては作業が難しいこともあります。まずは管理会社に相談してみましょう。

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