分譲マンションを取得して賃貸住宅として運用したり収益を得たりする不動産投資は、「区分所有の住戸を個別に取得する方法」と「複数の住戸がある1棟を丸ごと取得する方法」の2つがあります。なかには、まずは区分所有の住戸の取得から始めて2戸、3戸と買い増して1棟マンションに買い換える……といった人もいるかもしれません。
区分所有マンションと1棟マンションにはどんな違いがあり、それぞれどのような人に向いているのでしょうか。ここでは、区分所有マンションと1棟マンションの違いについて解説します。
価格は数千万円単位と億単位の違いに
区分所有マンションと1棟マンションの大きな違いは、「価格」です。区分所有マンションなら中古であれば1,000万円以下から取得可能ですが、1棟マンションの場合は少なくとも数千万円以上です。新築ともなれば、多くは1億円以上。そのため、これから不動産投資を始める人の場合、まずは区分所有マンションから始めるのが心理的なハードルは低いでしょう。
比較的年収が高く、一定の資産がある人なら融資がつく可能性が高いので、「いきなり1棟マンションを手がける」ということも選択肢に入れることができるでしょう。
利回りは1棟マンションのほうが高い傾向に
物件価格は高くなりますが、1棟マンションには「利回りが高い」というメリットがあります。不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」によると、2020年4月に新規に登録された全国の住宅系収益不動産の平均利回りは、区分所有マンションが7.65%、1棟マンションは8.32%という結果でした。
もちろん時期、エリア、築年によって変動はありますが、1棟マンションのほうが区分所有マンションより利回りが0.67ポイントほど高くなっています。
1棟マンションなら資産価値を維持しやすい
区分所有マンションは、1棟の土地・建物を複数のオーナーで共有することになります。そのため土地の持ち分があっても、土地・建物を1人のオーナーが自由にすることはできません。将来的に「老朽化が進んで外観などが傷んできた」という場合でも、最新の設備に取り替えたり補修したりするには他のオーナーの同意を得る必要があるなど、大変なことがデメリットです。
一方、1棟マンションの場合は、オーナーの判断で維持管理・補修などが可能なので、状況に応じた対応が可能です。
入居者を安定的に確保しやすくなる
マンションへの入居者のニーズは、時代に合わせて変化します。1990年代後半ごろからの変化をみると、新築ではオートロックが一般的となり共用施設が終日利用でき、宅配ボックスの設置なども増えている傾向です。1棟丸ごと所有していれば、オーナーの判断で時代に合わせたリフォームやリノベーションができます。しかし、区分所有では住戸内のリフォームは可能でも共用部分についてはなかなか更新できません。
その結果、稼働率や賃料にも差がついてきます。1棟丸ごと所有するほうが収益も安定するのではないでしょうか。
1物件に集中すれば管理や手続きも簡単に
区分所有マンションを複数所有していると、管理や確定申告の手続きなども煩雑になりがちです。例えば、管理会社を1社にまとめられない場合は複数の会社とやりとりしなければならないため、会社員など本業を持っている人には面倒な作業になりかねません。
1棟マンションであれば、全ての管理を1社に任せられ手間ヒマを軽減できることから、本業を持った方のサイドビジネスとして打って付けです。
災害などの備えには万全の体制で
1棟マンションだと資産が集中しており、火災のほか、水害や地震などの自然災害が発生した場合、一気に資産価値が損なわれるリスクがあります。区分所有マンションを複数の場所に保有し資産が分散していれば、1ヵ所が災害などにあっても他の物件でカバーできます。
いずれにしろ、自治体のハザードマップなどで地震や水害などの被害に遭いにくいエリアを見極めながら、物件を選ぶ必要があります。
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