暗号資産「IOST」は今後メジャーになる可能性はあるのか
(画像=OlegKachura/stock.adobe.com)

2020年9月8日、暗号資産「IOST(アイオーエスティー)」がコインチェック取引所に上場し話題を集めました。しかしIOST とは、どのような暗号資産なのかご存じの人は少ないのではないでしょうか。また今後の値上がりは見込めるのかも気になります。本稿では、IOSTの特徴と今後メジャーな暗号資産になる可能性について考えます。

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暗号資産とは何か

IOSTは、暗号資産の一つです。暗号資産とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値のことを指し法定通貨における銀行などの第三者を介さずにやりとりができます。以前は、仮想通貨と呼ばれていました。暗号資産は「取引所」「交換所」と呼ばれる暗号資産交換業者から入手または換金することができます。

商品を購入するときの決済手段として使用することはできますが米ドルや円のような法定通貨と異なり国による価値の保証はありません。暗号資産の代表的な銘柄にビットコイン(BTC)があります。2021年5月13日時点で時価総額が約102兆円と最も多く暗号資産の指標銘柄です。2008年に「サトシ・ナカモト」という人物の論文に基づいて開発され2009年から配布が始まった最初の暗号資産。

業界では、ビットコイン以外の暗号資産をアルトコイン(代替コイン)と呼び区別しています。アルトコインの代表的な銘柄には、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)などがあります。

IOSTの特徴は?

IOSTは、スマートコントラクト(自動化された契約)を利用した分散型アプリケーションを構築するためのプラットフォームです。またネイティブトークン(暗号資産)の名称でもあります。正式なトークン名は、Internet of Service Tokenで最大供給量は210億枚。Internet of serviceとあるようにSNSやショッピングサイトでのスケーラビリティ(機器やソフトウェア、システムなどの拡張性を表したもの)の問題点を解決し新たなインフラストラクチャ(経済の下部構造)になることを目指しています。

IOSTは、処理能力に優れているのが特徴です。シャーディング技術とPoB(Proof of Believability)という合意形成アルゴリズムに基づいて成立しているため、高速なスケーラビリティを実現できます。シャーディング技術とは、データを複数のサーバーで分散管理する技術のことです。この技術によりブロックチェーンのトランザクション(コンピューターで処理するひとまとまりの仕事)処理を分割して取引の検証作業効率をアップすることができます。

またブロックチェーンの開発には、プログラム言語の問題がありますがIOSTは日本でも多くのエンジニアやプログラマーが使っているJavaScriptというプログラム言語によって開発を行うことが可能です。競合するブロックチェーンよりも使われるようになるためには、誰でもシステム開発が可能になるのは有利なポイントといえます。

さらにIOSTは、DeFi(分散型金融)の分野にも積極的です。DeFiとは、金融サービスやエコシステムなどを提供するためのアプリケーションのことをいいます。ブロックチェーン技術を基盤としているため、中央集権的な管理者を必要とせずにインターネット上のサービスを誰でも受けることができるのが特徴です。

IOSTでは、DeFiの継続的なイノベーションを促進するため、「DeFi Incentive Program 2.0」という600万米ドルのファンドを立ち上げています。これから伸びると予想されるDeFiに関する戦略を着実に進めている点は、注目に値するでしょう。

IOSTのセキュリティ対策

暗号資産を取引するときに一番心配なのが流出の問題です。IOSTは、どのようなセキュリティ対策を講じているのでしょうか。暗号資産の管理方法は「中央集権型」「非中央集権型」の2種類です。中央集権型とは、法定通貨を国が発行・管理しているように特定の管理者が暗号資産の管理をする仕組みのことを指します。

一方の非中央集権型とは、ビットコインなど多くの暗号資産がそうであるように不特定多数のユーザーによって管理・運営される仕組みのことです。中央集権型で自社が管理主体になっている暗号資産の場合、内部不正による盗難が起こるリスクを完全に排除することはできません。メジャーなアルトコインでは、リップルが自社で管理・運営する中央集権型といわれています。

IOSTでは、前述した独自のコンセンサスアルゴリズムでとなるPoBを採用することで非中央集権型を実現。IOSTは、PoBを活用して分散型経済のセキュリティを担保することが可能です。

IOSTのデメリット

IOSTのデメリットは、扱っている取引所が限定されていることです。2021年5月時点でコインチェックにしか上場していません。取り扱っている取引所が多いほど市場参加者も多くなるため、価格形成において不利になるといえるでしょう。上場したコインチェック(Coincheck)は、ネット証券大手マネックスグループの子会社が運営する暗号資産取引所です。

国内で最も多い15種類の暗号資産を約500円から購入することができます。積立投資もできるため、利便性の高い取引所といってよいでしょう。既存の投資家がIOSTを購入するためだけに口座を開設するのは手間に感じるかもしれません。しかし初心者が暗号資産取引を始めるきっかけとして開設するには適しているのではないでしょうか。

IOSTは、最大供給量が210億枚と多いため、ビットコイン(最大供給量2,100万枚)のような希少性はありません。そのため人気の暗号資産になったとしても高値はビットコインの1,000分の1が目安と考えておいたほうが良いでしょう。IOSTがビットコインを上回る人気を得るには、IOSTのアプリケーションを使った大ヒット商品が生まれるかどうかにかかっているといえます。

IOSTの今後の見通し

期待が高いIOSTですが今後の価格動向はどうなっていくのでしょうか。IOSTの価格は、2021年になって動きが大きくなっています。IOSTの2021年5月4日終値の価格は日本円で6.1924円です。高値は、2021年4月14日に付けた9.9360円となっていますが、2021年1月1日終値では0.5720円だったことを考えると約17.3倍に資産が膨らんだ計算になります。

資金決済としての安全性は、どうでしょうか。IOSTは、金融庁に登録されている国内取引所で取り扱っている暗号資産として「ホワイトリスト」に入っています。2017年4月に施行された「改正資金決済法」によって暗号資産を扱う取引所が登録制となりホワイトリスト入りしている暗号資産は、投資家からの安全性や信頼性の評価が高くなるため、安心して取引できる暗号資産と考えてよさそうです。

今後の見通しですがIOSTがアルトコインとしてイーサリアムやリップルのようにメジャーな暗号資産になるかは、以下の2つの要因があると考えられます。

・コインチェック以外の取引所がIOSTを取り扱うか
取り扱う取引所が増えればコインチェック以外に口座を持つ投資家からの注目度が高まり出来高の増加とともに価格も水準を切り上げていく可能性はあるでしょう。

・IOSTネットワークを浸透できるか
先述したようにIOSTは、非中央集権型による独自のアルゴリズムを持っているため、クレジットカードと同じくらいの処理能力を有するといわれています。ブロックチェーンを導入したオンラインサービスの普及が進む中で今後金融や医療などさまざまな分野でIOSTによるサービスが開発されれば認知度が向上し暗号資産としての人気が高まることが期待できるでしょう。

IOSTは、価格水準がまだ低いため、ある程度まとまったロットで購入できるのが魅力です。ビットコインを中心とする暗号資産相場の動きによっても異なりますが大きく値上がりする夢を持てる暗号資産といえるのではないでしょうか。

※本記事は2021年5月4日現在の情報を基に構成しています。IOSTの概要を紹介したものであり当該銘柄への投資を推奨するものではありません。

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