日本の人口減少は、確実に進行しています。人口が減る国では、大きな経済成長が見込めません。人口と経済成長には、密接な関係があるのです。
日本の収益不動産は、円建て資産です。金融資産も大部分が円建てで、日本に持ち家があって、さらに収益不動産も所有しているということは、円建て資産に囲まれている状態と言えます。
日本は、食料やエネルギーを海外に依存しています。そのリスクに対応するためには、外貨建て資産を保有することで資産防衛をするしかないのです。
収益不動産のオーナーが、毎月の家賃を外貨建て資産に変える方法に、外貨建て生命保険があります。以下でその内容を見ていきましょう。
外貨建積立保険・外貨建変額積立保険とは
毎月入金される家賃を生活費に充てているオーナーや、それを積み立てて資産形成をしているオーナーもいるでしょう。そのときに考えたいのが、家賃収入を円から外貨(USD)に変えることです。
なぜ、円を米ドルに変える必要があるのでしょうか。特に一棟物の賃貸用アパート・マンションを所有しているオーナーの資産構成が、円に偏っているからです。収益物件から発生する家賃収入を米ドルに変えることで、外貨資産の割合を高めるべきなのです。
その方法として、外貨建積立保険・外貨建変額積立保険が挙げられます。毎月入ってくる家賃を、これらで積立てていきます。
変額保険は運用実績によってリターンが変わるため、解約返戻金や満期保険金額は確定していません。とはいえ生命保険なので、被保険者に万一のことがあった場合の保険金は、加入時に最低保証額が決められています。
運用実績や解約時の為替リスクがありますが、日本円に比べて米ドルは金利が高い(2020年3月15日現在)ので、利回りに優位性があります。
生前の相続税対策にも使える
ある程度の資産を持つオーナーが頭を悩ませるのが、相続でしょう。オーナーに万一のことがあった場合、配偶者や子どもにどうやって資産を引き継ぐか。その方法の1つに、生命保険があります。
毎月積み立てを行い、生命保険の受取人を配偶者や子どもにします。オーナーに万一のことがあった場合、生命保険の受取人が相続人となり、資産が移転します。しかし相続が発生するため、相続税がかかります。
そこで使えるのが、生命保険の相続税非課税枠です。控除額は1人あたり500万円なので、配偶者と子ども2人の場合、1,500万円までが非課税になります。
家賃をそのまま現金として保有していた場合、相続税評価額はその金額になりますが、生命保険に変えることで非課税枠が使えるのです。
ただし、ここで考えるべきことがあります。それは、為替レートです。
相続時まで積み上げてきた平均レートと相続発生時のレートによって、円ベースの受取金額が変わります。
・相続時までの平均レートよりも相続時が円高……円ベースの死亡保険金が減少
・相続時までの平均レートよりも相続時が円安……円ベースの死亡保険金が増加
これを踏まえると、死亡保険金を多く受け取りたい場合は、円安を期待することになります。しかし、相続財産(相続税の評価額)の観点では、
・相続時までの平均レートよりも相続時が円高……相続財産評価が減少
・相続時までの平均レートよりも相続時が円安……相続財産評価が増加
となるので、相続税額の観点ではむしろ円高のほうが望ましいのです。
多くの外貨建積立保険は、解約返戻金や保険金を外貨のまま受け取ることもできます。したがって、その時の状況によって、受取人が円で受け取るか外貨で受け取るかを決められるのです。
不動産収入を運用することで、複利効果を高める
このように、不動産の家賃収入を外貨建積立保険・外貨建変額積立保険に変えることで、資産の通貨を分散でき、また相続税対策もできるのです。外貨建変額保険を使うとリスクは高まりますが、場合によっては、より高い運用利回りが出る可能性もあります。
もともと不動産投資は、レバレッジ効果を活用することで、効率よく資産を形成できる方法です。外貨建て生命保険を使えば、得られた家賃収入を再投資し、外貨で運用することで高い複利効果が期待できます。
【あなたにオススメ】
・不動産投資、新築物件と中古物件、どっちを選ぶ?
・不動産投資における物件売却のタイミングを考える
・副業ブームの日本!サラリーマン大家になるなら覚えておきたいこと
・金利1%台で不動産投資できる恵まれた環境
・区分所有と一棟所有ではどっちに投資する?