賃貸物件退去時の金銭トラブルを回避するには?【後編】

後編では原状回復の費用相場、トラブル回避の為オーナーと入居者が気を付けるポイントについて解説します。

原状回復費の費用相場

①:壁紙の張替え(使う材質等で変動あり)…㎡/800円~1,500円程度

②:床・クッションフロアの張替え…㎡/2,500円程度~
塩ビタイルやクッションフロアであればこのくらい。木の床材になると約10倍!

③:畳の表替え…帖/3,500円~4,500円程度
表替えとは、畳の中材はそのままで表面だけを新しくする手法。

④:ハウスクリーニング(1R~2LDKの集合住宅の場合)…15,000円~70,000円

専門業者が特殊洗剤で部屋をピカピカに!古い物件ほど費用がかかる。ただし業者によって金額が大きく異なり退去時にトラブルになりやすい。
基本的に貸主が負担するものと考えられているが、契約書等の特約に記載されている場合には借主が負担しなければならないパターンがある。

・賃貸借契約書内に、ハウスクリーニング費用を賃借人(借主)が負担する旨の記載がある
・契約書に記載されている負担金額が明確であり、かつハウスクリーニングの相場通りの料金である
・仲介した不動産会社などから口頭で説明があり、借主側も認識、合意した
上記すべての条件を満たしている場合、借主側にハウスクリーニング費用を請求していいとされている。負担金額の契約書への記載は大家さんにとっても重要であり、入居者も契約内容を把握しておくことが重要。

また、原状回復費は経年劣化分を差し引いて算出されます。建物自体の耐用年数と入居年数がポイントになり、築年数が古い・入居年数が長い場合は通常使用・経年劣化による汚れや破損が考慮され、入居者負担割合が低くなります。どのくらいの期間が経てば弁償する価値がなくなるかは対象物によって異なります。

・耐用年数5年…流し台
・耐用年数6年…エアコン・カーペット・壁クロス
・耐用年数15年…便器・洗面台等の給排水
・建物の耐用年数が適用されるもの…ユニットバス・浴槽等

トラブルで1番多い敷金の返還額

敷金の主な役割は、
①:原状回復費用としての役割。入居者の不注意により床や壁を破損・汚染させた場合、退去の際、敷金から原状回復費用として工事代金やクリーニング費が差し引かれる。
②:家賃を保証する役割。入居者が家賃を払えない場合は敷金から補填される。

汚れや破損について、経年劣化や通常損耗に該当するかどうかの意見が貸主と借主で相違することが敷金トラブルの原因となります。ここで重要なのは、賃貸借契約書に「どのような場合に原状回復費用が発生するか」が明記されていることです。
こういった場合は民法より契約書を有効とする判例が多い為、契約書をしっかり確認しましょう。

賃貸物件退去時の金銭トラブルを回避するには?【後編】

トラブル回避の為に気を付けるポイントは?

まずオーナーが気を付けるポイントは、敷金に関する事項を契約書に明記するということです。

記載例として、「屋内の禁煙を禁ずる。タバコのヤニによる黄ばみや匂いがある場合は全額借主負担とする」「カーペットのシミ・汚れ・カビについては手入れ不足の場合、借主が〇割負担する」など。
ガイドラインを理解した上で、契約書にはどういった場合に敷金から原状回復費が差し引かれるのか詳しく記載することが大切です。念の為、公的なガイドラインの存在や、ガイドラインに沿った契約内容であることを契約時に説明することも有効的です。

次に、入居者が気を付けるポイント。一つ目は入居前の状況を記録に残すこと。キズや汚れがあった個所は場所や状態をメモしたり写真に収めることで、入居前と退去時の状態を比較できトラブルが発生しにくくなります。

二つ目は、賃貸期間中は部屋を借りているという意識を忘れないこと。掃除を怠ったために発生した浴室のカビや換気扇の油汚れ等は、入居者に原状回復費が請求されます。原状回復費を抑えたい場合は、普段からこまめに掃除し部屋をきれいに使うよう心がけましょう。

三つめは、退去時には立ち会うということ。退去の際には、必ず入居者とオーナー、もしくは不動産管理会社が立ち会い傷や汚れの有無・設備の不具合などをチェックします。一つ目のポイントでもある入居時の記録があれば、よりスムーズに確認作業を行うことができ、双方が納得した上で清算手続きが進められます。

敷金や原状回復費の基本を抑えて、トラブルを回避しお互い穏やかな気持ちで退去手続きを行いましょう!

下記動画にてより詳しく解説しています。是非ご覧下さい。


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