インバウンド需要にどう対応するか?増加する外国人入居者
(画像=YANUSY編集部)
檜垣嘉孝
檜垣嘉孝
不動産賃貸仲介業、マンション管理業を経て、不動産専門ライターとして独立。コンサルティング会社を経営する傍ら自らも不動産投資を行う中で、投資家の目線に立った記事制作を心がけています。

2019年4月に予定されている入管法改正や2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博の開催を控え、日本国内における外国人入居者を取り巻く環境は日々変化しています。今後数年間にわたって多くの外国人が日本に押し寄せることが予想されています。不動産投資を行っている方にとっては、「インバウンド需要にどのように対応するのか」という問題は、確実に押さえておきたいものといえるでしょう。

入管法改正で何が変わるか

労働力不足が深刻化している日本社会において、多くの外国人を労働者として受け入れることによって、こうした問題を解決しようとしているのです。入管法、すなわち「出入国管理及び難民認定法」の改正によって、外国人労働者の受け入れ制度が大きく変わり、滞在可能年数が大きく引き伸ばされることになります。

この改正によって、多くの外国人労働者が日本を訪れることが予想されます。労働力不足の解消には効果的かもしれない一方で、日本における外国人労働者の数が増えることにより、種々の問題が発生することが考えられます。また、2020年と2025年に控えている東京オリンピックと大阪万博の開催に伴い、外国人労働者がさらに増加することは容易に想像できるのではないでしょうか。

外国人入居者の増加

数ある問題のうちの一つとして、日本国内の外国人労働者が増加すれば各地の不動産に入居を希望する外国人労働者が増加することが挙げられます。一見すると、入居者が増加すれば賃料収入もそれに伴って増加し、不動産投資を行っている人にとって、チャンスのように思えるかもしれません。ここでは、外国人入居者が増加することにより発生すると思われる問題について考えてみましょう。

・家賃滞納のリスク
出稼ぎや勉学のために日本を訪れている外国人の中には、収入自体が安定していない人がいることも想定されるでしょう。したがって、外国人入居者を受け入れる物件にあっては家賃滞納のリスクについて認識しておく必要があります。

・入居者間でのトラブル
日本人と宗教も慣習も異なる外国人が物件に入居している場合、ささいなことから入居者間のトラブルに発展することも考えなければなりません。ゴミ出しルールをはじめとする物件固有のルールの明確化など、事前にトラブルを回避するための詳細な説明は欠かせないといえます。特に注意すべきなのは「騒音」の問題です。

外国人入居者は、同様の理由で日本を訪れている外国人と横のつながりが強い傾向があるため、深夜にもかかわらず多くの知り合いを部屋に招いたりすることも考えられます。騒音問題は入居者間のトラブルに発展しやすく問題が長期化することになれば、たまりかねた日本人入居者が退去してしまい、空室が目立つ物件になってしまうリスクもあるのです。

・オーナーとのコミュニケーション不足によるトラブル
住所変更の手続きや、家賃の振込方法など、日本人同士であれば詳細に説明しなくても理解し合えた事務手続きでも、外国人入居者にとってはあまりなじみのないことかもしれません。役所において必要となる手続きや、日本固有の商慣習など確実に説明しておくべき項目は非常に多いといえます。しっかりとした説明をしたつもりでも、ちょっとしたニュアンスの違いによって別の解釈をされてしまう可能性もゼロではありません。

まとめ

入管法の改正や東京オリンピック、大阪万博の開催に伴い、日本国内の外国人入居者は増加傾向です。投資物件を保有している方にとっては、外国人入居者をどのように取り込むのかを工夫することによってビジネスチャンスが生まれるでしょう。一方で、これまでには考えられなかった問題が多数発生するリスクもはらんでいます。

こうしたリスクを理解して、外国人入居者とどのように向き合っていくのか、オーナーとして後悔のない判断を行ったうえで、万全の対策を施すことが必要です。

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