空き家問題から今後の不動産投資を考える
(画像=Julie Marshall/Shutterstock.com)
檜垣嘉孝
檜垣嘉孝
不動産賃貸仲介業、マンション管理業を経て、不動産専門ライターとして独立。コンサルティング会社を経営する傍ら自らも不動産投資を行う中で、投資家の目線に立った記事制作を心がけています。

現代日本では人口減少・少子高齢化が叫ばれて久しいですが、それに伴って、空き家の問題が顕在化しつつあります。「なぜ空き家が発生するのか」を踏まえ、空き家問題から、これからの不動産投資マーケットにおいて生き残っていくための方策を探ります。

空き家問題の背景とは?

昭和48年から約40年間にわたって、国内における空き家及び空き家率は増加の一途をたどってきました。特に昭和48年時点の空き家の数と平成25年時点での空き家の数を比較すると、その数は約2倍程にまで膨らんでいます。社会問題になりつつある空き家問題について、その背景と原因について考えてみましょう。

空き家の使用用途を明確にできない

相続などにより空き家を取得するケースは多いと思われますが、その後の使用用途を明確にできないことが少なくありません。

賃貸に出すことや売却を試みても、そもそもニーズのないエリアに物件があるとなかなか借り手や買い手が見つからず、最終的には手放すことを諦めてしまい、空き家になってしまうというケースも少なからずあるようです。

解体・リフォーム費用がかかる

空き家を取り壊すのにも解体業者に依頼する必要がありますし、再販や賃貸に出すためにはリフォームをしなければなりません。こうした費用面の問題から、空き家の処分を諦めてしまうことも多いと言えます。

税金がかかる

空き家として放置しておく場合と、解体して更地にする場合で、かかる固定資産税にも違いが出ます。空き家として放置している場合の方が固定資産税は安くなるため、なかなか解体に踏み切れないケースもあるのです。

今後どのように不動産投資に影響する?

では、空き家問題が今後の不動産投資にどのように影響するのか、考えてみましょう。

まず、空き家の数に関しては、今後も増加していくことが予想されます。その理由は、現在65歳以上の高齢者が人口全体の3分の1を占めていることにより、住宅のニーズは低下していくと考えられるからです。

入居者のニーズを抑えた賃貸経営が必須

  • 需要が先細る地方や郊外での不動産投資は厳しい
    人口減少が懸念されているエリアや空き家が増加している地方などでは、不動産投資によって継続的に収益を挙げることは難しいと言えます。

不動産投資は、入居希望者がいて初めて成り立つビジネスモデルです。物件へのニーズがそこまで高くない場所では、不動産投資のビジネスは立ち行かなくなる可能性があります。

したがって、「どの地域で人口減少が起こっているのか」「投資を行おうとしているエリアの空き家の状況はどうか」といった部分について、しっかりとリサーチしておく必要があるのです。
地方や郊外でも全てのエリアで一律に需要が減退するわけではありませんので、エリアの選定と入居付けのスキルが、ますます重要になってくるでしょう。

  • 人口増加しているエリアが狙い目
    東京都や名古屋、福岡などの大都市圏では人口がコンスタントに増加しており、他県からの流入者も増えている傾向にあります。こうしたエリアでは賃貸物件への需要もあることから、不動産投資を行うために必要な条件が揃っていると言えるでしょう。

また、こうした大都市圏の中でも、東京都に関しては、若い世代の流入が多く見られます。つまり、ワンルームマンションへの需要が今後も継続的に増加していくと考えられます。ワンルームマンション規制の影響もあり、単身者向けのマンションの供給は今後減少していくことが想定されるため、早めにワンルームマンションを押さえておけば、増加する需要に対応することが可能になります。

まとめ

不動産投資を考える上で、「どのエリアで多く空き家が発生しているのか」「なぜそのエリアで空き家が発生するのか」という点についてアンテナを高く張り、常に最新の情報に触れる努力を怠らないことが重要です。大都市圏、特に人口が増加しているエリアを中心に、投資戦略を組み立てていくことが成功の鍵と言えるでしょう。

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