京都の特性を活かした「京町屋投資」 利回りやメリット・デメリットは?
(画像=Isabella Pfenninger/Shutterstock.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

賃貸経営といえばアパートやマンションが対象になることが多いですが、ニッチなカテゴリもあります。その一つが「京町屋投資」。京都に数多く残る古い民家を活用した不動産投資の手法です。マーケット環境も含めて紹介します。

京都の賃貸マーケットの特徴 需要が高く供給が限られている

京都市内と他エリアの賃貸マーケットの最大の違いは需給バランスです。京都では、「賃貸物件に住みたい」という人の数に対して、集合住宅や戸建てなどの賃貸物件が慢性的に不足しています。

この環境は、賃貸オーナーからすれば「安定経営がしやすい状況」と言えます。京都ならではの賃貸マーケットが生まれた理由としては、「厳しい建物規制がある」「学生と大手企業のビジネスパーソンが多い」などが挙げられます。

厳しい建物規制がある

京都市では、「新景観政策」で建築物の高さ・容積率・デザイン・眺望景観などが厳しく規制されています。例えば、高さ制限は中心部の幹線道路沿いでも31メートルまで。タワーマンションを建てられないので、賃貸物件の供給が短期間では増えにくいのです。

学生と大手企業のビジネスパーソンが多い

京都は、賃貸物件の見込客である学生と大手企業のビジネスパーソンが多いという特徴があります。京都市内の人口約147万人に対して、学生は約14万7,000人。市内の人口の10%を学生が占めています。他の大都市と比較しても際立って高い割合です。

加えて、京セラや任天堂、村田製作所、ワコールなど大企業の本社が京都に数多くあります。若いビジネスパーソンや転勤族のファミリー層などが、賃貸需要を高めているのです。

京町屋の定義 奥行きが長い敷地の古い家

不動産投資といえばアパートやマンションなどの賃貸経営が一般的ですが、京都では古い建物が多いという地域特性を活かした「京町屋投資」も盛んです。

京町屋という言葉に定義はないものの、一般的には奥行きが長い敷地に建てられた伝統的な軸組木造建築を指します。京町屋には、新築にはない味わい深さがあります。築年数では、築100年を超える古民家から、昭和時代に建てられたものまでバラエティーに富んでいます。

最近は若い世代を中心に、古民家を利用した住宅・カフェ・民泊施設などが人気です。こういった人に京町屋を貸して、家賃収入を得るのが京町屋投資です。

京町屋投資のメリット 安定経営とリセールバリューの高さ

「需要が高い賃貸マーケット」に「京町屋の人気」の要素が加わり、安定経営を実現しやすいのが京町屋投資の最大のメリットでしょう。

もともと古い建物を利用しているので、築年数が経っても資産価値があまり下がらないこともメリットと言えるでしょう。

京町屋の用途は幅広く、賃貸はもちろん、前述のカフェ・飲食店・民泊などに活用できます。選択肢が多いということは、それだけ安定経営がしやすいといえます。

京町屋のデメリット 火災リスクと修繕リスク

京町屋は昔ながらの木造建築なので、最新マンションと比較すれば火災に弱いというウィークポイントがあります。しかし、このリスクは火災保険に加入すればカバーできます。

また、新築物件と異なり古い建物を活用しているため、予想外の修繕が発生することがあります。いくらリノベーションをしても、躯体などの基本部分は古い建物を活かしているため、床の破損や雨漏りなどの修繕が発生する可能性があります。

利回りは比較的高いが修繕費も意識したい

京町屋に特化したリノベーション会社のデータを見ると、諸経費を除いた実質利回りが5%前後の物件が多いようです。一般的なマンション投資と比較すると利回りは少し高めですが、前述の修繕リスクも考慮すべきでしょう。

京町屋に限らず中古物件への投資では、建物や内装の傷みを自分の目で細かくチェックすることが大切です。その結果を踏まえて、修繕費をイメージしながら慎重に物件を選ぶようにしましょう。

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