賃貸経営に適した間取りとは、どのような間取りでしょうか。
賃貸住宅の間取り決めには、いくつかの方法があります。何を狙うかによって、どの間取りを採用するかは変わってくるので、これがベストという方法はありません。状況にあった間取りを見つけましょう。
しかし、確実に避けたほうがよい間取りも存在します。最終的には賃貸経営に精通したプロと相談して決めることになりますが、最低限の知識は持っておく必要があります。
今回は、賃貸経営の間取りの決め方と、避けたい間取りについて紹介します。
目次
賃貸経営における間取りの決め方
賃貸経営で考えられる間取りは、1Rから3LDK以上までさまざまです。その中でも、どの間取りの需要が多いのかを理解して、間取りを決めていく必要があります。
ここでは、需要を把握する方法を3つ紹介します。
ターゲット層に合わせる
間取りを考えるうえで、周辺のメインターゲットを調査することは重要です。
大学が近くにあり、学生や単身者が多い地域であれば、1R〜1DKといった比較的低家賃で住めるコンパクトな間取りがよいでしょう。また、若年層が多いエリアでは間取りや外観が個性的であるデザイナーズマンションが好まれる傾向にあります。
カップルや新婚夫婦向けなら、1DKから2LDK程度が好まれます。フリーランスの一人暮らしも、仕事部屋と寝室で1部屋ずつを希望する人が多いので、2部屋以上が好まれます。
保育所、幼稚園、小中学校が近い場合には、家族で住むことを想定して、2LDK以上の間取りを検討しましょう。
下図は日本統計センターが、不動産情報サービスのアットホーム社より統計データ化した東京23区の賃貸物件の平均専有面積です。間取りではありませんが、専有面積からある程度の間取りは想像できます。
富裕層やファミリー層が多い、港区や渋谷区、中央区、江東区などで専有面積が広く、学生などの単身者世帯が多いといわれる豊島区や中野区が狭い傾向にあることがわかります。
このように、地域に住む人の属性や世帯によって求められる広さや間取りは異なります。ターゲット層を見極めて、それに合った間取りを選択しましょう。
立地条件から検討する
周辺の家賃相場や部屋数、間取りを調査することも重要です。
周辺に建てられているマンションやアパートは、すでに周辺のニーズを調査して建てられています。そして、そこに住んでいる人がいるということは、ニーズを満たしている証拠です。そのため、周辺の建物は大変参考になります。
たとえば、駅近くであれば、通勤・通学の利便性を重視している単身者が多いので、コンパクトな間取りでもニーズがあります。しかし、郊外の住宅地であれば、広い環境を生かしてゆったりとした間取りのほうが好まれる傾向があります。
下図は2018年に総務省が発表した「住宅及び世帯に関する基本集計」で、地域ごとの借家1住宅当たりの居住室の広さがわかります。東京や関西などの都心部が狭く、地方にいくほど広くなる傾向にあることがわかります。
賃貸経営をするときは、このような地域差も考慮して周辺の立地条件は必ず把握しておきましょう。入居者にとって、比較対象にもなるので、見劣りしない間取りが必要です。
資金計画から部屋数を逆算する
賃貸経営をする際には、必ず資金計画を立てます。
計画を立て、資金がいくらまで調達可能かがわかると、部屋数がどのくらい増やせるのかの計算が可能です。
たとえば、融資の金額から逆算して、毎月の返済額を100万円と設定したとしましょう。
賃貸経営にはランニングコストも必要ですから、それらを考慮して、家賃収入としては毎月150万円が必要だとします。
その場合、一部屋の家賃が10万円を15部屋、または一部屋の家賃が15万円を10部屋などと逆算して考えることができます。
自分が調達できる資金の範囲内で、一番収益が出る間取りを考えるのが、賃貸経営成功のカギです。
なるべく避けたい間取りとは?
賃貸経営をする際には、なるべく避けたい間取りが存在します。ニーズが少なく、空室になるリスクが高まるので、特別な理由がなければ、以下の間取りは避けましょう。
部屋が狭い
土地が狭かったり、部屋数を多くしたかったりという理由で、部屋を狭くするのは得策ではありません。
家賃が安いなどの理由で、一定の需要はありますが、住みづらいなどの理由により短期間で退去してしまう可能性があります。退去時にはルームクリーニング代が発生しますし、空室のリスクも高まります。
また、部屋が狭いことで、規格品が使えず建築費が割高になるケースもあります。
スペースを確保するためには建物の構造で対策できることがあります。
たとえば、壁式RC構造という工法があるので検討してみましょう。壁式RC構造は、梁や柱がなく、専有部比率を拡大し、室内を広くできます。
室内が広くなることで、住人の満足度が上がるので、退去しづらくなります。
バスとトイレが同じ
現在の新築物件は、ほぼバス・トイレが別です。部屋の広さよりもバス・トイレ別を選ぶ人が増えています。
このことからもわかるように、現代の需要は完全にバス・トイレ別です。今からバスとトイレが同じユニットバスを採用しても、入居者が決まらずに空室となってしまうリスクが高まるだけでしょう。
特別な事情がない限りは避けたほうがよさそうです。
部屋の形がいびつ
他の物件と差別化するために、形がいびつな間取りにしてしまう人がいます。個性的な間取りを好む人もいるので、一定の需要はありますが、あまりおすすめできません。
形がいびつだと、デッドスペースができやすく、落ち着かないという声も聞かれます。そのため、多くの入居者に敬遠されてしまいます。
また、いびつな形をしていると、規格品が使えないため、建築費が高くなりがちです。
このようなことから、いびつな形にすることはあまりおすすめしません。
収納スペースがない
快適に生活するためには、収納スペースが欠かせません。
収納スペースが狭いと、生活空間が狭くなってしまい、入居者は不便を感じてしまいます。そのため、短期間で退去してしまい、空室になる期間が増えてしまうリスクが高まります。
長く生活してもらうためには、生活して物が増えてきても窮屈にならないように、収納スペースを確保する必要があります。
【土地活用をもっと詳しく知る】
間取りで失敗しないためには、パートナー選びが重要
間取りを決める時には、自分だけで判断せずに、必ずプロに相談しましょう。
間取りを決める際は必ずプロの意見を参考にする
間取りを決める際には、必ずプロの意見を参考にしましょう。
プロには、以下のような会社が挙げられます。
- ハウスメーカー
- 工務店
- 不動産デベロッパー
ハウスメーカーは、独自ブランドを全国規模で展開している住宅メーカーです。
戸建てのイメージがありますがマンションやアパート建築を行っているハウスメーカーも多いです。
全国に支店があり、多くの情報を持っています。そのため、自分の条件にあった間取りをすでに建築している可能性があり、ノウハウを提供してもらえる可能性があります。
工務店は、住宅を中心とした工事全般を請け負う建設会社です。
地域密着型の小規模な工務店から、多くの職人を抱えている中規模の工務店まであります。ハウスメーカーより安価で家を建ててくれ、顧客の要望に対して柔軟に対応してくれるのが工務店の強みです。そのため、親身になって自分の状況にあった間取りを提案してもらえます。
不動産デベロッパーとは、土地や街の開発事業者のことです。
デベロッパーのなかでも種類があり、賃貸経営の際はマンションデベロッパーに相談するとよいでしょう。デベロッパーは街づくりのプロです。収益面や建築面だけでなく、たとえば、周辺環境との調和を考えた「低層コンパクトマンション」を提案してくれるなど、開発事業者ならではの意見がもらえます。
マンションデベロッパーは不動産に関わるあらゆることに精通しています。そのため、建物を建てる時の悩みから、建物を建てた後の運営時の悩みまでを一気に解決してくれます。間取りに関しても、建築の情報や、入居者の情報などを総合的に考えて提案してもらえるので、必ず参考にしておきましょう。
建築実績が多い会社が有利
各会社には、それぞれ得意な分野があります。
デベロッパーの中でも、商業施設やリゾート施設が得意な会社、マンションやアパートが得意な会社などで分かれます。
間取りを含めた相談をするならマンションやアパートの建築実績が多い会社を選びましょう。建築に関係したノウハウが豊富なので、希望にあった間取りを提案してもらえます。
また、その間取りを実現するためのノウハウやコネクションを持っているため、安価で建築できる可能性が高くなります。
間取り以外にも入居者を集めるノウハウを持っている不動産会社を選ぶ
賃貸経営では、建築も重要ですが、建築後に集客することも重要です。
そのため、入居者を集めるノウハウがある会社を選びましょう。
通常、賃貸経営をする場合には、不動産会社を通じて入居者を募集し、不動産会社に管理してもらいます。
不動産を運営するノウハウを持った不動産会社と長く付き合うことが、賃貸経営を成功させる重要なポイントです。
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