従来、不動産投資先は首都圏や近畿圏、中部圏などの大都市部が中心でした。しかし、特に首都圏の地価や不動産価格が上がり過ぎたことから、地方の物件が注目されるようになっています。地方なら物件価格が安いことから都心部と比較すると高い利回りを期待できるうえ、大都市部と地方の両方に物件を所有していれば、リスクの分散を図れることがメリットとなります。そのため、最近は地方で投資用不動産を取得する人も増えています。
地価上昇の波は大都市圏から地方4市に広がる
日本で地価や不動産価格が上がるときは、まず東京の都心から始まり東京都心の周辺部や郊外、近畿圏、中部圏に広がり、やがて地方へ波及するのがセオリーです。2010年代後半の不動産価格上昇も、まず東京で始まり大阪や名古屋に波及した後、値上がりの波が地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)に拡大しました。
国土交通省の「公示地価」によると、2020年の地方4市の対前年平均変動率は、住宅地が5.9%、商業地が11.3%という高い上昇率を記録しました。全国平均では住宅地が0.8%、商業地が3.1%の上昇で、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)は住宅地が1.1%、商業地が5.4%のアップでした。このことからも、近年の地価上昇が地方4市に広がってきていることが分かるのではないでしょうか。
地方4市であれば、投資先としてのマンション価格が三大都市圏に比べると低い水準のため、投資しやすいのが大きな魅力です。
地方4市ならまだまだ少ない予算で投資できる
東京カンテイの調査によると、2019年の新築マンションの首都圏と地方4市の平均価格は以下のようになっています。
地域 | 新築マンション平均価格(2019年) | |
---|---|---|
首都圏 | 5,904万円 | |
地方4市 | 札幌市 | 3,695万円 |
仙台市 | 5,032万円 | |
広島市 | 2,664万円 | |
福岡市 | 4,168万円 |
2019年に関しては、仙台市は中心部に高額マンションが多数販売されたため、近畿圏や中部圏より高くなっています。2018年以前は4,000万円前後で推移しているため、三大都市圏に比べるとかなり買いやすい価格帯ではありません。
沖縄県や北海道のニセコなども注目度が高まっている
地方4市以外にも注目される投資先が増えています。まず挙げられるのが、北海道倶知安町(くっちゃんちょう)のニセコ地区です。スキーリゾートとして外国人を中心に急速に人気が高まり、地価が急上昇しています。2019年の「公示地価」の住宅地において全国で最も上昇率が高かったのは、標準値番号「倶知安-3」の44%、2位が「倶知安-2」30.6%でした。
ともに前年比で30%以上のアップを記録しています。「公示地価」で住宅地の上昇率3位に上がったのが沖縄県の「糸満-5」で30.3%、4位は「宮古島-6」の27.4%でした。やはり30%前後の上昇で、特に糸満市では首都圏や外国人を意識したマンションやホテルが増加し、新築マンションはいまや三大都市圏並みの高値で販売されるようになっています。
沖縄県では、読谷村や沖縄市、北谷町なども住宅地の変動率上位にランクインされています。また北海道の倶知安町の地価が高くなっていることもあり、次のスキーリゾート地として長野県白馬村が注目され、「白馬-1」では「公示地価」の変動率が20.2%という地点もあります。
地方を買うなら空室リスクなどを十分にチェック
注目度の高いエリアは地価が急速に上がっているとはいえ、首都圏をはじめとする大都市部に比べると経済的な基盤が脆弱である点は否めません。したがって、社会・経済的な変化で急速に衰退するリスクもあります。1990年代のバブル期にもてはやされたリゾート地のなかには、バブル崩壊後に価値が低下したエリアが少なくありません。
ファンダメンタルズが強固なエリアであれば、いったんは下落してもその後、持ち直すケースがあります。しかし、そうではない場合もあるので十分に注意が必要です。
- 高くても大都市部の資産性が確立された物件を取得するか
- 多少のリスクは覚悟で地方4市やその他の注目エリアなどの将来性にかけるか
上記の内容を踏まえたうえで、自分自身の資産状況や価値観などに応じて選択する必要があるでしょう。
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