マンション一棟買いの必要自己資金額と一棟マンション成功の極意7ヶ条
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

マンション投資における「区分マンション」と「一棟買い」という2つの分類。どちらが良いのか迷ってしまう方は多いのはないでしょうか。当記事では、一棟買いマンション投資で成功させるためのノウハウを、区分マンション投資と比較をしながら解説します。 区分マンションで必要とされる資金は数千万円規模といわれています。

一方、一棟買いは億単位になることが多いため、前者は初心者向けでお手軽、後者は資産家や上級者など限られた人のためのものというイメージをお持ちの方は多いと思います。
裏を返すと
「本当は一棟買いのほうが良さそうだが、無理なので区分で……」
という本音が含まれているのではないでしょうか。お金があるならマンションを一棟買いして本格的な大家業に参入してみたい、マンションの家賃で生計を立てたいとお考えの方は多いことでしょう。でも、実際のところはどうなのでしょうか。

「マンション投資は一棟買いのほうが良いのか?」
「本当に一棟買いするとなったらどれくらいの資金が必要なのか?」
「ローン審査に通るための属性は?」
これらの疑問が次々と湧いてくると思います。

当記事では、「マンション投資の本丸は一棟買い」である理由から、区分マンション投資との比較、必要な自己資金、そして一棟買いマンション投資で成功させるためのノウハウを伝授したいと思います。一棟買いに少しでも関心のある方にとっては、どれも必須の知識です。読み終えたときには、マンション一棟買いに向けて前向きに検討することができるでしょう。

目次

  1. 1.不動産投資のプロがマンションの一棟買いをすすめる理由
    1. 1-1.「マンション一棟買い」には不動産投資で得られる答えがある
    2. 1-2.実はマンション投資の本来の姿は一棟買い
    3. 1-3.大半の区分投資家が「いつかは一棟買い」と考えている事実
    4. 1-4.土地があることの安定感
    5. 1-5.実は一棟買いのほうがリスクは低い
    6. 1-6.不動産投資に取り組める時間は限られている
  2. 2.一棟買いvs区分所有 それぞれのメリットとデメリットを比較
    1. 2-1.一棟買いマンション投資のメリットとデメリット
    2. 2-2.区分マンション投資のメリットとデメリット
    3. 2-3.初心者でも「最初から一棟買い」は選択肢としてあり
  3. 3.マンションの一棟買いには自己資金がいくら必要?
    1. 3-1.物件価格の1割~3割が目安になる
    2. 3-2.自己資金は「頭金」ではなく投資の元本である
    3. 3-3.マンション一棟買いに必要な属性の目安
    4. 3-4.フルローンの一棟買いマンション投資は現実的ではない
  4. 4.一棟買いしたマンションを収益化するための3つのポイント
    1. 4-1.現金一括以外はローン限度額で判断する
    2. 4-2.利回りをもとに返済可能なローン支払額を計算する
    3. 4-3.キャッシュフローの黒字を維持できる計画書を作成する
  5. 5マンション一棟買いにはどのようなリスクがあるのか
    1. 5-1.借金の返済リスク
    2. 5-2.一棟丸ごとの災害リスク
    3. 5-3.売却しにくいリスク
  6. 6.一棟買いマンション投資を成功させるための極意7ヵ条
    1. 6-1.自己資金をできるだけ多く用意する
    2. 6-2.キャッシュ・イズ・キング
    3. 6-3.一棟買いの自由度をフルに活かす
    4. 6-4.中古物件選びのポイントは「立地」と「共有部分」
    5. 6-5.必要経費をケチらず、外注化できることは外注化する
    6. 6-6.提示された収益シミュレーションを鵜呑みにしない
    7. 6-7.今だけでなく将来の需要予測をシミュレーションする
  7. 7.一棟マンションを購入するまでの流れ
    1. 7-1.下調べをしてから問い合わせる
    2. 7-2.複数の物件を比較する
    3. 7-3.複数の金融機関から融資先を選ぶ
    4. 7-4.契約内容を細かく確認して購入を決める
  8. 8.東京の一棟マンション投資で注目すべきポイントは?
    1. 8-1.投資用新築RCマンションが希少で人気化している
    2. 8-2.相続税対策と海外投資家のニーズの高まりで供給不足が加速
    3. 8-3.不動産投資の初心者なら小規模な新築一棟RCマンションに注目
  9. 9.まとめ
  10. 10.マンション一棟買いに関するよくある質問
    1. Q. 「一棟買い」vs「区分所有」結局どっちがおすすめ?
    2. Q. 「マンション一棟買い」には自己資金がいくら必要?
    3. 10-3.Q. 「マンション一棟買い」を成功させるには?

1.不動産投資のプロがマンションの一棟買いをすすめる理由

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不動産投資のプロや上級者の多くはマンション投資をするなら一棟買いを推奨しています。なぜこれらの事情通は一棟買いを推奨するのか、その理由を解説します。

1-1.「マンション一棟買い」には不動産投資で得られる答えがある

「マンション一棟買いで投資する」ことに関心をお持ちの方に、お聞きします。考えがそこに至った理由とは何でしょうか。
そこには不動産投資への本質的な願望や目的があると思います。

  • 不動産の賃料収入を安定的に得たい
  • 不動産オーナーになって資産形成をしたい
  • 究極的には、お金持ちになりたい

あなたが「不動産投資」に期待するのは、このようなことではないでしょうか。これらすべてが不動産投資の魅力であり、参入を考えている方にとっては切実な願望でしょう。
結論から申し上げますと、一棟買いのマンション投資にはこれらのすべてがあります

1-2.実はマンション投資の本来の姿は一棟買い

実はマンション投資は一棟買いで丸ごと所有するのが本来の姿です。
区分所有という概念があるのは一棟買いだと価格が高くて買えない人が出てくるから。その証拠にアパートは一棟買いが普通であり、そもそも区分所有という概念がありません。何故なら、アパートであれば一棟買いであっても数千万円規模なので、一般的な投資家であっても一棟買いが可能だからです。

区分所有と一棟買いとでは一度に購入する戸数が違います。マンションの一棟買いとなると一度に10戸や20戸といった物件を所有することになりますが、区分の場合は1戸単位です。
区分の場合は家賃収入と賃貸経営コストがいずれも1戸単位になるため、どうしても非効率的です。同じ建物の中に同様の物件が他にもあるのであれば、それを丸ごと所有したほうが効率よくなるのは当然であり、キャッシュフロー(投資家の手残り)も大きくなります。

1-3.大半の区分投資家が「いつかは一棟買い」と考えている事実

前項で述べたように、マンション投資を始めたものの、予算の都合から区分所有を選択したという投資家は多いと思います。実際に多くの不動産投資会社が区分マンション投資を取り扱っており、その中でもとりわけワンルームマンション投資は高い人気を誇ります。

こうした投資家の多くは「まずは区分1戸から」という発想で不動産投資に参入し、やがて戸数を増やして「いつかは一棟買い」というステップアップを思い描いています。
つまり、区分マンション投資をしている人の中にも一棟買いが本来の姿であると認識している人が相当数いるわけです。

1-4.土地があることの安定感

区分所有と一棟買いには、決定的な違いがあります。それは土地の有無です。
もちろん区分所有であっても土地の権利を区分所有することになりますが、一棟買いだとそのマンションの敷地もすべて同一のオーナーが所有します。

建物は時間の経過とともに劣化が進むことは避けられませんが、土地が劣化することはありません。立地条件によっては購入時よりも価格が高くなることがあるほど、土地には普遍的な価値があります。

マンションはいつか建て替えの時期を迎えますが、その際にも区分所有より一棟買いのほうが権利関係としてはシンプルなので話をスムーズに進めやすいなど、土地と建物を一括で所有することには多大なメリットがあります。

1-5.実は一棟買いのほうがリスクは低い

投資額は、一棟買いのほうが大きくなるためリスキーだというイメージをお持ちの方は多いと思いますが、実はマンション投資は一棟買いのほうが低リスクです

その理由はとてもシンプルで、1戸のみの区分所有だと空室になると収入はゼロ、収支はマイナスになってしまいますが、一棟買いだと一斉に全室が空室になることは考えにくいので、空室リスクを分散することができるのです。

もちろん災害などで建物がダメージを受けてしまうと一棟買いのリスクが顕在化しますが、仮に区分ワンルーム物件を複数のマンションで所有していたとしても、おそらく所在地があまり離れていない場所にある可能性が高く、これだと地震や台風などの災害リスクは分散されません。

こうした点を踏まえると、マンション投資は一棟買いのほうが実は低リスクであると考えることができます。

1-6.不動産投資に取り組める時間は限られている

一棟買いであれば一度に10戸、20戸といった単位で購入するため、資産形成の速度には大きな差があります

不動産投資は長期的な視野で取り組むものですが、人生のうち不動産投資に費やせる時間はそれほど長くはありません。現役世代のうちに道筋を作っておいて、それをリタイア後も続けたとしても、最長で40~50年程度ではないでしょうか。

区分マンションで投資規模を拡大していくとなると、最初は1戸から始めて翌年に2戸目といった具合に、1年で1戸ずつというペースが精一杯かもしれません。「不動産収入で悠々自適」という老後を思い描いている方は、区分マンション投資だと時間が足りないかもしれないのです。

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2.一棟買いvs区分所有 それぞれのメリットとデメリットを比較

(画像=PIXTA)

マンション投資の大きな分かれ道である、一棟買いと区分所有。どちらを選ぶべきかを決めかねている方のために、ここではそれぞれのメリットとデメリットを詳しく比較してみましょう。

2-1.一棟買いマンション投資のメリットとデメリット

一棟買いマンション投資のメリットとデメリットを以下に整理してみました。

【一棟買いマンション投資のメリット】

  • 得られるキャッシュが大きい
  • 空室が発生しても収入ゼロにはならずリスクが分散される
  • 土地と建物を所有するため資産価値が持続しやすい
  • 賃貸経営の効率が高い
  • 賃貸経営の自由度が高い

【一棟買いマンション投資のデメリット】

  • 初期投資額が大きくなり、ローンの借り入れも大きくなる
  • 火災や災害などで建物がダメージを受ける可能性がある
  • 流動性が低く売却しづらい

メリットとデメリットを並べてみて、やはり費用が大きくなることによるリスクの増大と参入障壁が最も大きなデメリットです。

逆に考えると、このデメリットさえ解決できればメリットがとても多いため、今は区分マンション投資をしている人の中にも「いつかは一棟買いで」と考える人が多いのもうなずけます。

2-2.区分マンション投資のメリットとデメリット

それでは次に、区分マンション投資のメリットとデメリットを整理してみましょう。

【区分マンション投資のメリット】

  • 初期投資が少なく、初心者や予算の少ない人にも取り組みやすい
  • すでに管理会社が入っているため管理しやすい
  • 建物全体のダメージや老朽化による影響が限定的

【区分マンション投資のデメリット】

  • 管理する戸数が少なく、空室が発生すると影響が大きくなる
  • 賃貸経営の効率が低く、一棟買いより利回りが低くなる
  • 賃貸経営の自由度が低い

少額からでも始められることが最大のメリットである一方、経営効率があまり高くないためキャッシュフローを残しにくく、「不動産収入で左うちわ」を実現するのは難しいというのが、区分マンション投資の特徴です。

2-3.初心者でも「最初から一棟買い」は選択肢としてあり

不動産投資の初心者は区分所有から、その中でもとりわけ区分ワンルームマンション投資を勧める宣伝文句やネット記事などを目にしたことがある方は多いと思います。これにはいくつかの理由がありますが、最大の理由は新たに不動産投資を始めようとしている人の懐事情を考えると、それが最も現実的な選択肢だからです。

しかし、ここまで述べてきたように多くの投資家が「いつかは一棟買いで」と考えているのは事実であり、そこには区分所有よりも一棟買いのほうが不動産投資のメリットをより多く享受できると感じているからでしょう。

標準的なサラリーマンの所得水準で自己資金を少なくとも1,000万円以上用意するのが難しいということであれば、区分所有から始めることになりますが、近い将来にそれだけの自己資金を用意できる見込みがあるのであれば、最初から一棟買いでも良いのではないでしょうか。

新築にこだわると価格が高くなるため購入のハードルも高くなりますが、中古の一棟買い物件であれば安いものを探すのは決して難しくありません。

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3.マンションの一棟買いには自己資金がいくら必要?

区分所有よりも一棟買いを検討したいという方にとって、最も気になるのは「先立つもの」です。億単位の買い物になることも多いマンションの一棟買いだけにローンの利用が前提になるとして、自己資金はどれくらい必要なのでしょうか。

3-1.物件価格の1割~3割が目安になる

ローンの審査で重視されるのは、物件の収益性と事業計画の健全性、そして投資家本人の信用と属性です。これらのすべてを審査するためケース・バイ・ケースですが、少なくとも購入額全体の1割、多くて3割程度の自己資金が必要になるというのが目安です。

言うまでもなく、自己資金が1割でも審査に通るケースというのは、物件の収益性が高く、それでいて投資家本人の属性が高い、社会的信用が高いといった場合です。

平たくいえば、金融機関にとってお金をきちんと返済してくれる見込みが立つ人は自己資金が少なくても審査に通りやすく、その逆だと自己資金を多めに求めるという具合です。自己資金を多めに用意できない、もしくは収益性や返済能力に疑問があるという場合は、そもそも審査に通りません。

3-2.自己資金は「頭金」ではなく投資の元本である

不動産投資は事業なので、自己資金はその事業資金の一部であるというのが金融機関にとっての認識です。

不動産投資の自己資金は物件取得費用の一部として充当されるため、ローン払いの頭金だと見なしている方は多いと思います。確かにそれも間違いではないのですが、不動産投資の自己資金にはそれとは別の意味合いもあります。

あなたがお金を貸す側の立場で、「これだけの事業資金を用意して本気で取り組みたいので、お金を貸してほしい」と持ちかけられて、必要な資金の半分を用意している人と、1割にも満たないお金しかない人だと、どちらを信用するでしょうか?言うまでもなく、前者のほうが事業に向けての本気度が伝わってくるので、お金を出しやすくなるでしょう。

金融機関にとっての自己資金とはこれと同じもので、自己資金の多寡によって不動産投資という事業への本気度を審査していると考えて良いといえます。

自己資金が多いほど審査に通りやすいのは、収益性が向上するというだけでなく、投資家が不動産投資を成功させようと思っている本気度を評価されているからという理由もあるのです。

3-3.マンション一棟買いに必要な属性の目安

マンションの一棟買いは億単位の買い物になることもしばしばです。
仮に1億円の物件を購入するとして、ローン審査に通るには自己資金として1割から3割の中間をとって、2,000万円が目安です。

もっとも、大都市圏の優良物件であれば収益性が評価されて1,000万円でも可能になることも考えられます。

次に、8,000万円から9,000万円規模の借り入れをするのに必要な年収を考えてみます。
区分マンション購入時のローンでは、年収の7倍程度までという目安があります。つまり、年収が600万円の人であれば4,200万円までの融資が現実的という計算です。

マンション一棟買いの場合は土地と建物という資産性があるため、積算価格といって「土地と建物が持つ資産としての価値を算定し、それをもとに融資額を決める方法」と、区分マンションと同じように「年収と比較した倍数で決める方法」があります。

立地条件が良く、また築浅であるなど資産性が高い物件であれば担保価値が高いため融資枠も大きくなりますし、審査にも通りやすくなります。一棟買いの場合は積算価格が重視される傾向が強く、年収に対する倍数は各金融機関が個々に定めており、それをクリアしているか否かで判断されます。

近年では不動産投資向けの融資審査が厳格化されており、少なくとも年収700万円以上でないと審査の俎上に乗らないといわれています。

3-4.フルローンの一棟買いマンション投資は現実的ではない

自己資金ゼロで全額をローンでまかない、不動産投資を始められるというスキームがあります。「フルローン」「オーバーローン」と呼ばれていますが、フルローンとはマンションを一棟買いするのにあたって物件価格の全額をローンで調達することで、オーバーローンとは不動産投資を始めるのに必要な諸経費も含めた全額をローンで調達するという意味です。つまり、オーバーローンだと投資家は全く持ち出しがなく不動産投資家になることができます。

不動産投資は他人資本であるローンを活用することでレバレッジ効果を生み、それを味方につけることで、家賃収入や資産形成といったメリットがより大きくなります。それがオーバーローンだと貯金ゼロでもこのメリットが得られることになりますが、残念ながらこれは現実的ではありません。

全く自己資金を持たずに不動産投資を始めたとしても、翌年の税金を支払えないでしょうし、不測の事態で現金が必要になっただけでも資金がショートしてしまいます。フルローン、オーバーローンでマンションの一棟買いをしても良いのは、本当は十分な自己資金があるもののそれを手元に残しておきたいという人だけです。

加えて近年では、不動産投資に関連する不祥事や失敗事例の増大によって融資環境が厳しくなっています。先ほど自己資金は投資家の本気度を審査するためのものであると述べたように、自己資金を全く投じずにマンションのオーナーになるというのは、あまり現実的ではないと考えたほうが良いでしょう。

4.一棟買いしたマンションを収益化するための3つのポイント

一棟買いしたマンションを収益化するには、いくつか大事なポイントがあります。特に重要なキーワードになるのが「ローン」「利回り」「キャッシュフロー」の3つです。ここでは、3つのキーワードをもとに一棟買いしたマンションを収益化する判断基準について考えてみましょう。

4-1.現金一括以外はローン限度額で判断する

1つ目のポイントは「ローン」です。マンションの一棟買いは、物件によって億単位の資金が必要な場合があります。そのため現金一括で購入できる人は少ないでしょう。現金一括で購入できない場合は、不動産投資ローンを利用するのが一般的です。収益化できそうな物件を購入できるかどうかは、ローン限度額で判断することになります。

不動産投資ローンの融資限度額は、年収の7~10倍程度です。一棟マンションは、区分マンションよりも価格が高額なため、金融機関の融資審査は厳しい傾向にあります。金融機関は、審査の際に購入する不動産の資産価値に着目する傾向です。一棟マンションは、土地もすべて自分の所有となるため、収益性が高い立地であればローン限度額まで借り入れできる可能性があります。

好立地物件を探し、投資対象物件の価格が年収の10倍以内の融資額で購入できるかを基準に判断することが大切です。

4-2.利回りをもとに返済可能なローン支払額を計算する

2つ目のポイントは、物件の収益から得られる「利回り」です。ローンの返済可能額は、利回りをもとに計算します。例えば以下の事例の表面利回りを確認してみましょう。

  • 投資対象:中古ワンルームマンション(一棟物件)
  • 物件価格:1億円
  • 賃料収入:毎月8万円(管理費含む)×10戸(年間960万円の家賃収入)

【表面利回り】
年間家賃収入960万円÷物件購入価格1億円=9.6%

一棟物件は、部屋数が多いため、スケールメリットで区分所有よりも利回りが高くなる傾向です。この物件を不動産投資ローン(設定条件:頭金2,000万円、融資額8,000万円、元利均等払い、固定金利、20年ローン、金利2.5%)で購入した場合の毎月のローン返済額は約42万3,922円となります。

毎月の家賃収入が80万円なのでローン返済は十分可能です。しかし管理委託費や修繕積立金、固定資産税などを引いた実質利回りは9.6%より下がります。さらに利益を計算するうえでは、減価償却費も計上しなければなりません。それらの経費を差し引いても黒字になる物件が収益化できる物件と判断できます。

物件の想定表面利回りが高いか低いかは、不動産ポータルサイトの一棟物件売出広告に記載されている各物件の表面利回りと比較してみるとよいでしょう。

4-3.キャッシュフローの黒字を維持できる計画書を作成する

3つ目のポイントは、「キャッシュフロー」です。具体的には、キャッシュフローの黒字を維持できるかどうかが重要となります。不動産経営は、長期にわたるため、当初キャッシュフローが黒字でも途中から赤字に転落するリスクもあるのです。そのためキャッシュフローの黒字を維持できる計画書を作成しておく必要があります。

上記のシミュレーションは、あくまで年間を通して同じ家賃かつ満室だった場合の想定利回りです。マンションは、築年数が古くなれば家賃を下げなければならないケースも出てきます。またまったく空室が出ないことは考えにくいため、空室分の家賃減少も組み入れたシミュレーションが必要です。

家賃でいえば10年目から7万円に下げた場合の年間家賃収入は840万円に低下します。さらに空室が出ることを想定して平均9戸が稼働すると考えると756万円(7万円×9戸×12ヵ月)までの低下は考慮する必要があるでしょう。キャッシュフローは、入ってくるお金と出ていくお金の差額です。

そのためローン返済や管理委託費、修繕積立金、固定資産税などの諸経費も出ていくお金として差し引かなければなりません。ただし実際の支出を伴わない減価償却費は除きます。家賃が下がっても黒字を維持できる計画書を作成できれば金融機関からの評価を高くすることが期待できるでしょう。

5マンション一棟買いにはどのようなリスクがあるのか

マンションを一棟買いするということは、「一国一城の主」になるということです。物件の管理はもちろんローンの返済から災害リスクまですべての責任をオーナーが負うことになります。そこでここからは、マンション一棟買いのリスクについて確認しておきましょう。

5-1.借金の返済リスク

3,000万円の資産を持っている人が3,000万円の区分所有マンションを購入する場合は、全額またはほとんどの部分を自己資金でまかなうことが可能です。しかし1億円の一棟マンションを購入するには、最低7,000万円の融資を受ける必要があります。一棟マンションの購入は、区分所有マンションに比べて借金の金額が多くなる傾向のため、返済リスクが大きくなりがちです。

借金を抱えて経営するリスクは、経営がうまくいかなかったときに表面化します。例えば3,000万円の物件を自己資金2,500万円、借入金500万円で購入した場合、30%安の2,100万円で売却すればキャピタルロスは生じるものの500万円の借金は問題なく返済可能です。しかし7,000万円を借り入れて1億円の物件を購入した場合はどうでしょうか。

この場合、30%安の7,000万円で売却するとローン残高や仲介手数料など諸経費を差し引きほとんど手元に残らない可能性があります。

5-2.一棟丸ごとの災害リスク

一棟マンションは、災害があった場合、建物が丸ごと影響を受けるリスクがあります。区分所有であればエリアの異なる物件を複数所有すればリスク分散が可能です。一棟マンションを購入する場合は、火災保険・地震保険だけでなく「施設賠償責任保険」や「家賃補償保険」などリスクの低減につながる保険にも加入したほうが賢明でしょう。

また購入する前に検討している物件の周辺環境を調査し災害につながる危険がないか確認しておくことも重要です。周辺の危険箇所については国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で調べることができます。

5-3.売却しにくいリスク

一棟マンションは、区分所有マンションに比べて売却しにくいリスクがあります。なぜなら一棟マンションは区分所有マンションに比べて価格が高額で買い手が少ないからです。そのため売りに出しても買い手が見つかるまで長期間かかる可能性があります。

新しい物件で再スタートを切るために一棟マンションを早期に売却して現金化したい場合は、不動産会社の「買取」を利用することも選択肢の一つです。不動産仲介会社を経由する「仲介」で売り出すより価格は安くなるものの、買取なら査定から早ければ1週間程度で売却が決まる場合があります。

【一棟RCマンションのリスクを低減する低層RCマンションという選択肢】

低層RCデザイナーズマンションで土地活用

6.一棟買いマンション投資を成功させるための極意7ヵ条

(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

次に、一棟買いマンション投資を始めようとお考えの方に、成功するための極意7ヶ条を伝授します。これらすべてを意識したうえで具体的な行動をとることで、一棟買いマンション投資の成功に近づくことができるでしょう。

6-1.自己資金をできるだけ多く用意する

億単位の現金を持っている方であればともかく、マンションの一棟買いとなると融資の利用が前提になります。当記事では物件価格1億円に対して少なくとも1,000万円、できれば2,000万円の自己資金を推奨していますが、それよりも多く用意できるのであれば多いに越したことはありません。
すでにいくつかの物件を持っている投資家と違って、初めてマンションの一棟買いをする初心者の方はどうしても金融機関の融資金利が高くなってしまい、少なくとも3.5%程度、条件によっては4%程度の金利になることもあります。
金利負担をより軽くするためにも自己資金を多めに投じることは有効ですし、審査にも有利に働きます。

逆に、このレベルの自己資金を用意できない人は、マンションの一棟買いをしてもリスクが極めて高いと考えるべきだということでもあります。

6-2.キャッシュ・イズ・キング

税金の支払いをはじめ、設備の故障や家賃滞納などに備えるため、1億円の一棟買いマンションであれば、最低でも500万円程度の現金をプールしておくのが目安です。

自己資金を多めに投じて優良物件が買えたものの、資金ショートによって黒字倒産をしてしまっては元も子もありません。

自己資金をできるだけ多めに投じるべきと述べた直後に若干矛盾するのですが、投資や経営の世界には「キャッシュ・イズ・キング」という言葉があります。あらゆる資産の中で最も流動性が高く、急な需要に応えられる資産として現金は最強なので、不動産投資という事業を始めるのにあたって現金を全く持っていない状況は避けるべきです

6-3.一棟買いの自由度をフルに活かす

一棟買いが区分所有と違うのは、土地と建物を丸ごと所有できることです。その建物の管理や賃貸経営のあり方などをオーナーが自由に決められるので、その自由度を大いに活かしましょう。
管理会社の選定やリノベーションの可否など賃貸経営の重要な判断事項もすべて投資家本人に委ねられるので、しっかりと戦略を立てて差別化を図りたいものです。

6-4.中古物件選びのポイントは「立地」と「共有部分」

資金的な事情などにより、初心者の方が中古マンションを一棟買いするケースは多いと思います。新築と違って中古はすでに前オーナーが賃貸経営をした実績があるため、空室率や利回り、キャッシュフローなどの実績データがあります。これらのデータを精査するのは当然ですが、それ以外に重視したいポイントが2つあります。

1つ目は、立地条件です。不動産投資の成否は物件選びで決まりますが、その中でも大きなウェイトを占めているのが立地です。駅近であること(徒歩10分以内)、しかもその駅が急行などの停車駅であれば理想的です。

その他にも周辺環境や生活利便性、近隣の需要施設または嫌悪施設についての状況など、これらの条件は購入後の賃貸需要に極めて大きな影響を及ぼすため、立地を精査する目は厳しすぎるほどでちょうど良いといえます。

2つ目は、中古マンション物件の共有部分です。各室内は空室時でしか見ることはできませんが、共有部分は購入前であっても見ることができます。1階エントランスや廊下といった共有部分には住民の民度や生活の様子が表れやすく、ゴミが散乱していたり共有部分に私物が置かれていたりといったように、共有部分を見ることで自身がオーナーになったときの状況をイメージすることができます。

6-5.必要経費をケチらず、外注化できることは外注化する

マンション全体の管理は、基本的には管理会社に一任するのが一般的です。相続によって大家さんとなったような地元の資産家の中には自身で物件管理をしている例もありますが、新たにマンション投資に参入する人は管理のノウハウもあまりないと思いますので、専門の管理会社に委託するのが無難です。

おおむね1戸あたり家賃の5%程度が相場なので、このコストはケチらず物件管理に使うべきでしょう。

他にもリノベーションや一部リフォーム、修繕といった作業が発生することもありますが、こういった場合もプロに任せるのが無難です。オーナー自らがDIYで対応した事例がネットなどで紹介されていますが、素人の仕事だとすぐにまた壊れてしまったり、最悪の場合はそれで入居者がケガをしてしまったりといった事態も考えられるので、リスク管理の観点からも外注できることは基本的にプロに任せましょう

6-6.提示された収益シミュレーションを鵜呑みにしない

投資家にとって最も重要なのは表面利回りではなく、最終的なキャッシュフローです。不動産投資が表面利回りの通りになることはないので、キャッシュフローベースでどれだけの手残りが見込まれるか、中古マンションの場合はこれまでの手残りがどうだったのかというデータを求めましょう。

マンションを一棟買いする際には、それを販売する不動産会社が収益シミュレーションを行い、投資家に提示します。ここで注意したいのは、不動産会社の仕事は物件を売ることであるという事実です。

どうしても目の前にバラ色の不動産投資家生活を見せられると飛びつきたくなってしまいますが、すぐには鵜呑みにせず、シビアな視点を崩さないようにしてください。

6-7.今だけでなく将来の需要予測をシミュレーションする

区分所有と違って、一棟買いは投資期間が長期になります。そのため今だけでなく将来の需要予測が区分の場合よりも重要になります。賃貸需要を決めるのは人口の流入や近隣の需要施設なので、少なくともローン返済期間における需要の予測を立て、賃貸経営の健全性が保たれるかどうかのシミュレーションが必要です。

もちろん販売側の不動産会社も将来予測を含めた提案をしていますが、ご自身でも人口移動予測を参考にするなど、購入を検討している一棟マンションが10年後、20年後にどうなっているかを可能な限り緻密に予測してください

こちらは日本全国の将来人口予測を調べることができるサイトです。「人口増減」という項目で2045年までの将来予測を見ることができます。

7.一棟マンションを購入するまでの流れ

一棟マンションを購入する際は、事前に大事なポイントをチェックすることで優良物件に出会える確率が高くなります。以下の4つのステップは、確実に行うようにしましょう。

7-1.下調べをしてから問い合わせる

一棟マンションについて不動産会社へ問い合わせる前に下調べをすることが大事です。下調べするポイントは、周辺環境と価格の相場。購入したい物件があったらそのエリア周辺の環境を調べて「どの程度の入居者が見込めるか」を予測しましょう。さらに周辺一棟マンションの物件価格をリサーチして購入を検討している物件の価格が割高でないかを比較します。

そうすることで不動産会社に問い合わせしたときに不動産会社の説明を鵜呑みにすることなく自分で判断しやすくなるでしょう。

7-2.複数の物件を比較する

一棟・区分にかかわらず不動産を購入する際は、複数の物件を比較して検討することが必須です。「同じエリア」「同じ間取り」「同じ築年数」でも物件によって得られる家賃収入の利回りは異なります。

同じような条件なら少しでも家賃収入を多く得られる物件を選んだほうがよいことはいうまでもありません。物件を比較したい場合は、主に以下の2つの方法があります。

・不動産ポータルサイトに掲載されている物件一覧からピックアップする
・不動産会社の窓口で希望条件に合った物件を紹介してもらう

7-3.複数の金融機関から融資先を選ぶ

融資を受ける金融機関も複数から選ぶことが必要です。もちろん取引が多いメインバンクがある場合は、そこが融資してくれる可能性は高いですが、他にもさらに低い金利で契約できる金融機関があるかもしれません。そのため全資産を一つの金融機関にすべて預けるのは得策といえないでしょう。

メインバンクを中心にしながらも取引金融機関を複数持っておくことで融資先の選択肢が広がります。取引金融機関以外では、ノンバンクも融資を受けやすい傾向です。しかし金利が高いため、まず銀行や信用金庫などに相談して最終的な受け皿としてノンバンクを残すのが安く融資を受けるコツといえるでしょう。

7-4.契約内容を細かく確認して購入を決める

一棟マンションの購入は、数千万円~数億円と高額な契約となります。そのためささいな契約内容の違いでも購入価格や諸費用に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。あとで「この費用を買主が負担するとは思わなかった」といったことがないように契約内容を細かく確認しておきましょう。

疑問がある点は、後回しにせず不動産会社に質問し納得したうえで購入を決めることが大切です。

8.東京の一棟マンション投資で注目すべきポイントは?

東京は、不動産投資にとってメインのエリアで一棟マンション投資の場合も変わりません。できれば東京に一棟マンションを持つのが不動産投資家の理想でしょう。しかし投資用新築RC(鉄筋コンクリート造)マンションは、非常に人気です。そのため供給不足から優良物件の購入は容易ではありません。

ここでは、東京の一棟マンション投資で注目したい3つのポイントを紹介します。

8-1.投資用新築RCマンションが希少で人気化している

好立地物件の条件となる東京23区駅歩10分以内のエリアは、一棟マンションを建築する土地が少ないため、もともと新築RCマンションは希少な存在でした。加えて近年の建築資材の高騰や建設業者の人手不足なども重なり供給が不足しているのが現状です。そのため首都圏新築マンションの価格は、近年上昇の一途をたどっています

もし自身が地主で一棟マンション建築に適した土地を東京に持っている場合は、デベロッパーを兼ねた不動産会社に相談して自ら一棟マンションを建てるのも一つの選択肢です。

8-2.相続税対策と海外投資家のニーズの高まりで供給不足が加速

東京の一棟マンションが人気化する理由の一つに「富裕層の相続税対策による需要」があります。相続は、現金・預貯金のまま相続すると相続税評価額は100%です。しかし生前に不動産を購入しておけば相続税評価額が大幅に下げることができます。富裕層は、受け継ぐ財産も億単位となるため、相続税の非課税枠に収まりきらないことが多い傾向です。

一棟マンションなら億単位で現金を不動産に変えることができるため、節税対策需要もあると考えられます。もう一つの要因は、アジアを中心とする海外投資家の需要増です。海外の物件に比べれば東京の不動産は、まだ割安と考える投資家が多いため、海外投資家の買いが供給不足に拍車をかけています。

8-3.不動産投資の初心者なら小規模な新築一棟RCマンションに注目

不動産投資初心者が投資する場合は、小規模な新築一棟RCマンションが比較的手がけやすいといえます。不動産投資で最も心配なのが空室リスクです。

しかし、新築マンションなら空室リスクが少ない経営を行うことが期待できます。しかも一棟マンションであれば例えば10戸ある物件なら1戸空室が出ても他の9戸は稼働しているため、家賃収入が途絶えることはありません。

一棟10戸程度の小規模な物件であれば東京23区内でも数億円で購入できる場合があります。「いきなり大型物件を購入するのは不安が大きい」という場合、まずは小規模な一棟物件の経営を検討してはいかがでしょうか。

9.まとめ

数千万円の自己資金やローン審査というハードルは決して低くはありません。しかし、マンション投資の本来の姿である一棟買いには、「お金持ちになる」という目的を実現する力があります。

自己資金がまだまだ足りないとお感じの方は、まずは自己資金作りから始めることで夢の実現に一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。この記事が、マンション一棟買いへの一歩を踏み出す力となれば幸いです。

10.マンション一棟買いに関するよくある質問

Q. 「一棟買い」vs「区分所有」結局どっちがおすすめ?

自己資金を用意できるなら「一棟買い」の方が低リスクで、リターンも大きいです。

Q. 「マンション一棟買い」には自己資金がいくら必要?

仮に1億円の物件を購入するとして、ローン審査に通るには自己資金として1割から3割の中間をとって、2,000万円が目安です。

10-3.Q. 「マンション一棟買い」を成功させるには?

  • 自己資金をできるだけ多く用意する
  • 一棟買いの自由度をフルに活かす
  • 「立地」と「共有部分」で選ぶ
  • 必要経費をケチらず、外注化できることは外注化する
  • 提示された収益シミュレーションを鵜呑みにしない
  • 今だけでなく将来の需要予測をシミュレーションする

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