定礎,タイムカプセル
(画像=PIXTA)

一つの漢字に複数の読み方があてられる日本語。「読めそうで読めない漢字」「ついうっかり読み方を間違えてしまう漢字」で苦労した経験はありませんか?

この言葉も、読み方が分かりにくく間違えやすい熟語の代表例といえそうです。大きなビルの入り口に大きく書かれた「定礎」の字、正しく読めているのでしょうか。この言葉の読み方と由来を紹介します。

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「定礎」の読み方と意味

「定礎」の読み方は「ていそ」です。「じょうそ」ではないので注意しましょう。

「定める」と「礎(いしずえ)」の2つの漢字でなるこの言葉。礎は、建物の柱の下に置く石を指し、「企業の礎となる経営理念」のように、この1文字で物事の基礎を指す言葉として使用できます。

定礎には、「建物の基準となる石を定める」という意味がこめられています。定礎石は、建築を正確に行うために設置されるもので、日本では明治時代から始まったといわれています。

近年では、建築方式が変わり基準となる石を定める必要がないことから、工事終了後に建物の南東の隅や正面玄関近くに置かれるケースが多いようです。

定礎石の中にはタイムカプセルが埋まっている!?

ここで一つの疑問が浮かび上がります。現代の建築技術ではすでに必要のなくなった定礎石や定礎と書かれたプレートを、門や玄関先に設置するのはなぜなのでしょうか。

実は、定礎石にはただその言葉が刻まれているだけでなく、中には「定礎箱」と呼ばれる箱が入っています。定礎箱は銅でてきており、建築図面や建築主の名前、氏神のお札が入っているそうです。

さらには、定礎石を置く際に行われる儀式、定礎式が行われた日の新聞や流通している硬貨、時代が分かるものを入れるのが一般的です。まるでタイムカプセルのような役割を持つ定礎石、開封される時期は定まっておらず、ビルが解体されるときまで定礎箱はそこに眠っています。

定礎石のルーツ

日本では明治以降に置かれるようになった定礎石のルーツは、古代ギリシャ時代、古代ローマ時代にまでさかのぼります。

定礎石はヨーロッパで石造建築が始まったころからあるといわれており、トラブルなく建物が完成するように、定礎石を置いて祈願する風習があったそうです。

「定礎石」という名称からまるで日本がルーツのように感じられますが、実はヨーロッパの歴史ある風習だったのです。

定礎石の中にある不思議な箱、中身は一部の人しか知らない

定礎石の中にある定礎箱、さらにその中に入れられる物は、建築主と建築会社で話し合って決められるのが一般的です。いつも目にしているビルの定礎箱には、一体何が入っているのでしょうか?思いもよらぬ素敵なものや価値のあるものが入っているかもしれません。

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