決まった料金を払えば音楽が聴き放題の定額制音楽配信サービスを利用されている方は多いでしょう。これがサブスクリプション型サービスと呼ばれるものです。賃貸住宅にもこのサービスが広がりつつあります。ここでは、「住宅の定額制とはどういうものなのか?」「家賃との違いは?」について解説します。
所有からシェアへの流れの中で、賃貸住宅事情にも変化が
かつては車や時計、または洋服に至るまで所有するのが一般的でした。それがIT技術の進歩や、物があふれる生活への反動、コスパ重視の価値観の浸透などから、一つの物をシェアする方向に社会の流れが変わってきています。賃貸住宅もまたしかりで、一人の居住者が一つの部屋を独占して借りるこれまでのスタイルに変化が現れはじめました。その流れの中で登場したのが、「サブスクリプション型賃貸住宅」という新しいサービスです。
サブスクリプション型賃貸住宅とは?
サブスクリプション型賃貸住宅とは、サービス会社が定めた定額利用料を払えば、指定された住宅の中から月単位で何ヵ所でも好きな期間居住できるサービスです。株式会社アドレスが2019年4月からスタートさせるサービスでは、月額4万円という安い利用料を設定しています。光熱費込みの価格ですので、かなりリーズナブルといえるでしょう。スタート時は5ヵ所の拠点を用意する予定です。
しかし、「月額で利用すれば結局家賃を払うのと同じなのでは?」という疑問もわくかもしれません。しかし、サブスクリプション型賃貸住宅は以下のような身軽さにこそ魅力があるのです。
サブスクリプション型賃貸住宅のメリット、デメリット
サブスクリプション型賃貸住宅のメリットは、初期費用がかからないことです。通常賃貸住宅を契約する場合は、敷金、礼金、不動産仲介手数料のほか、毎月の管理費がかかります。レジデンストーキョーというサービス会社のプランでは、これらの費用をゼロに設定しています。また、想像以上に負担になる費用が転居時にかかる引っ越し代です。
レジデンストーキョーは、家具・インテリア・家電サブスクリプションサービスを運営する株式会社クラスと提携しています。家具・家電付き住宅として提供するため、家具代や引っ越し代が不要なことも大きなメリットです。賃貸住宅への入居は初月がもっとも費用がかかるので、ごく短期間の入居に限ればサブスクリプション型賃貸住宅の方がコストはかなり安くなります。
ただし、月会費についてはサービス会社によって差があるため、居住予定期間を考え、よく調べたうえで借りることが重要です。一方、まだ始まったばかりのサービスのため、各社とも対象になる物件が少ないことがデメリットといえるでしょう。現状では「自由に移動できる」というメリットを享受できるほど、選択肢は広くはありませんが、今後が楽しみといえます。
また、あくまで住居をシェアするのが基本ですので、他会員との対人関係が生じることは覚悟しなければなりません。
オーナー目線での活用方法
サブスクリプション型賃貸住宅は、オーナー目線でもメリットがあります。例えば、一戸建てにおける「空き家」や、別荘の使わない期間などをサービス会社に提供することによって、家賃収入を得ることが可能です。人口減社会が進展し、今後増えることが予想される全国の空き家対策は、国家的な課題であると同時に、物件オーナーにとっても悩みのタネになります。
サブスクリプション型賃貸住宅が今後広まっていけば、オーナーとしても有休資産を提供できる機会が増えてくるので、メリットは大きいです。まだ、発展途上のサブスクリプション型賃貸住宅サービスですが、今後この制度が普及していくかどうかは、いかに優良な物件を増やしていくかにかかっています。サブスクリプション型賃貸住宅が次世代のスタンダードになるか、その行方に注目です。